五感でつくる臨場感!ゴール達成メソッド

私たちは、今この瞬間に起きていると感じることを現実として選びます。
日常の延長線上にある現状の臨場感が強いと、行動は安全な範囲に留まり、ゴールは単なる「良いアイデア」で終わりがちです。
しかし、ゴール達成後の世界の臨場感が優勢になると、判断や言葉、日々の選択が自然と未来に向かって整っていきます。
これが「ゴール側のコンフォートゾーンを作る」ということです。

ビジュアライゼーションは、未来の自分を映像として思い描く技法ですが、視覚だけに頼るのはもったいないことです。
視覚に加え、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を総動員し、その場にいるような全身での感覚を生み出します。
コーチングでよく示される式に I × V = R があります。
I(Imagination/想像)と V(Vividness/鮮明さ)が掛け合わさるほど、R(Reality/現実感)が強くなるというシンプルな考え方です。
数字の計算というより、「具体的で鮮やかにできるほど、現実の手触りに近づく」と理解してください。

日常の三つの場面で、五感をどう広げるかを物語のように追いかけてみます。
共通するコツは、今の自分でも再現できる細部を選ぶことです。
大がかりな準備は必要ありません。

例えば、社内プレゼンを成功させたいときは、
会議室に入った瞬間、壁の色やプロジェクターの明るさが視界に入ります。
スライド一枚目のタイトルが自分の名前と並び、参加者が頷く様子が見えます。
マイクを通る自分の声は少し響き、笑いが起きるタイミングがこちらの間合いと合うのを耳が捉えます。
手の中のリモコンは軽く、足元のカーペットは柔らかい。
開始前に口に含んだ常温の水の味が落ち着きをもたらし、印刷した資料からはインクの匂いがかすかに漂います。
ラストスライドを映す頃には、静かな達成感と充足が胸のあたりに広がっています。

ランニングを習慣化したいときは、
早朝の薄明かりの中、歩道の白い縁が淡くぼやけて見えます。
一定のリズムで鳴る足音が遠くの車の走行音と重なり、イヤホンから流れるテンポが呼吸と合ってきます。
最初の数分は頬を冷やす空気が心地よく、膝から太ももへと温かさが上がってくるのがわかります。
帰宅後のシャワーはいつもより少し熱めで、喉に通る水が軽く甘く感じられます。
雨上がりの日には土の匂いが濃く、走り終えた後の部屋には洗い立てのタオルの香りが残ります。
時間がない朝でも、こうした断片を短く再生するだけで、身体は“いつものコースへ出る”前提に切り替わります。

五感だけではまだ足りません。
そこに感情を意識的に重ねます。
プレゼンの締めで訪れる安堵と誇らしさ、朝ラン直後の軽やかさと静かな満足。
これらを場面の“最後のカット”に貼り付けて、映像を閉じます。
脳は一度経験したように記憶し、次に同じ場面に入る際の抵抗を下げてくれます。

映像や感情を引き出すための短い合言葉を決めましょう。
プレゼン前なら「落ち着いて、相手の笑顔に話す」、ランニングなら「最初の五分で温まる」といった具合です。
状況に直結した一言の方が効果的な切り替えスイッチになります。
声に出すのが難しい場合は、心の中で口の形を作るだけでも十分です。

最初に感じるかもしれないのは、「具体的にすると嘘っぽい」という違和感です。
しかし、細部は演出ではなく予告編であり、行動の設計図として役立ちます。
次に多いのが「続かない」という悩みですが、これは意志の弱さではなく、所要時間が長すぎるだけです。
九十秒で区切れるサイズに縮めれば、自然と続けられます。
また、「イメージが苦手」という声もありますが、視覚にこだわらず、音や手触り、温度や香りから始めても構いません。
得意な感覚から始めるのが最も効果的です。

新しい道具を買う前に、身の回りのものを活用しましょう。
通勤路の角、マグカップの縁、椅子の座り心地、部屋の香りなど、どれも臨場感を作り出す要素です。
場所を変えられないときは、香りやBGM、飲み物の温度といった“小さなスイッチ”だけでも十分に雰囲気を変えられます。

朝の三分、昼の三十秒、夜の五分。
この短い時間で、未来の自分の“当たり前”が少しずつ現在に移行していきます。
I × V = R:想像を鮮やかにするほど、現実の感触は変わっていきます。
ここからが、ゴール達成の第一歩です。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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