「Have to」から「Want to」へ——ワクワクがゴールを連れてくる

私たちがゴールに近づく際に背中を押してくれるのは、「Have to(やらねばならない)」という義務感よりも、「Want to(放っておいても手が伸びる)」という欲求です。
義務感に駆られるのではなく、自然と手が伸びるような気持ちで行動できているかどうか。
この違いが、集中力や持続力、そして最終的な成果に大きな影響を与えます。

「Want to」という気持ちは、努力という言葉が不要な状態です。
時間を忘れ、気づけば手が動き、終わったときに「もうこんな時間?」と驚くような没頭のことです。
ゲームに夢中な子どもが「努力している」のではなく「やりたいからやっている」のと同じです。
逆に「Have to」という感覚は、眉間に力が入り、呼吸が浅くなり、時計ばかり気にする状況です。
「本当はやりたくないけれど、義務だから続けている」という感覚が強く、成果が出ても満足感が薄く、疲労感だけが残ります。

今取り組んでいる作業を思い浮かべてみてください。
胸のあたりが軽くなり、好奇心が湧くなら「Want to」に近づいています。
逆に、胃のあたりが重く感じたり焦りが出てくるなら、「Have to」の比重が大きいのかもしれません。
この身体感覚の方が、複雑なチェックリストよりも正確です。

趣味を考えるとき、私たちは通常、眉間にしわを寄せません。
新しい本の目次を眺めたり、旅行先の地図を見たり、カメラの設定を試したりすると、自然と表情が和らぐはずです。
しかし、未来の計画を立てるときに顔が曇るなら、どこかで自分に“勝手な制約”を課しているサインです。
「時間がない」「お金がない」「能力が足りない」「評価されないかも」といった仮の前提が、ワクワクを押しつぶしているのかもしれません。

そこで一度、制約をすべて脇に置いて考えてみます。
「もし一切の制約がないとしたら?」と自問し、思いつく案を紙に書き出してみるのです。
その後で現実に戻り、書き出した中から一歩目として無理なく試せることだけを選びます。
すると、漠然とした不安が解け、ワクワク感が少し高まります。

仕事の資料作成を例にとると、単に「提出物を作る」と考えると「Have to」に傾きます。
ここで、誰のどんな困りごとを解決し、相手が使う場面でどの部分が役立つのかを想像してから取りかかると、価値提供の手応えが生まれ、自然と「Want to」に近づきます。
学び直しなら、資格テキストを最初から律儀に読み進めるよりも、「明日チームで一番喜ばれそうなトピックを15分だけ調べて、一枚のスライドにまとめる」と目的を具体化すると、たちまち着手のハードルが下がります。
体づくりも同様で、義務的な30分のランニングより、「お気に入りのアルバム一枚分だけ歩く」や「夕日が見える橋まで散歩する」と決めると、景色や音がごほうびになって続けやすくなります。

どの例にも共通しているのは、行動の“意味”を具体的な言葉に置き換えることです。
「締め切りに間に合わせる」ではなく「相手の時間を節約する」と表現した瞬間に、同じ作業が違って見えます。
言い換えのひと工夫が、「Have to」の鎧を外してくれます。

興奮が感じられない活動は、一度手放しても問題ありません。
続けること自体が目的になってしまうと、ゴールから遠ざかってしまいます。
例えば、「3回続けて手応えがなければ一度距離を置く」と事前に決めておくと、迷いが少なくなります。
「やめるルール」を先に設定しておくと、選択の自由度が増し、やりたいことへの再接続が早くなります。

未来を考えて眉間に力が入るときは、問いかけ自体を変えてみましょう。
「失敗したらどうしよう?」ではなく、「明日の自分が少し誇らしくなるための最小の一歩は何だろう?」と問いかけると、評価や完璧主義という見えない制約が取り除かれ、行動のハードルが下がります。
「Want to」は、しばしば“気軽な第一歩”の先に現れます。

「Want to」は努力の反対語ではありません。
努力を“続けられる形に設計する”ためのエンジンです。
制約を一度脇に置き、体の感覚を頼りに、意味の再解釈と環境の整備で義務感を和らげます。
興奮が感じられないなら迷わず手放し、別の道を試してみましょう。
この軽やかな進め方が、あなたを最短でゴールに導く道を作ります。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

目次