昨日の延長線から抜ける簡単な方法

「ゴールを設定しましょう」と言うと、逆に動けなくなる人がいます。
特に、長年社会人として働き、何事も「費用対効果は?」と合理的に考える癖がある人ほど、頭の中で考え続けて行動が止まってしまうことがあります。
自分自身がブレーキをかけている原因は、“脳の見え方の癖”にあります。

私たちが見ている現実は、脳が「重要だ」と判断した情報だけを集めた“編集版”です。
昨日まで重要だと思っていたものを、今日も明日も優先して拾い続けます。
この注意のフィルターは、日常を安全に保つのに役立ちますが、変化を求めるときには障害になります。
フィルターがそのままだと「昨日の延長線」ばかりが強まり、結局は元の習慣に戻ってしまうのです。
つまり、マインド(心と体)を変えない限り、昨日の繰り返しが続くのです。

必要なのは、完璧な計画ではなく、未来にとっての重要性を先に宣言することです。
これがゴール設定です。
ゴールを設定すると、注意のフィルターが変わり、これまで見えていなかった情報が視界に入ってきます。
いきなり一生モノの大きなゴールを決める必要はありません。
方向性を示す「とりあえずのゴール」で十分です。
歩き出すことで景色が変わり、解像度が上がり、新たな情報が集まります。

例えば、ある人は「カメラを始めたい」と言いながら、毎晩機材比較の動画を見続けていました。
昨日までの基準が“失敗を避けること”だったため、買わない理由ばかりが目に入ってしまいます。
ここで「今週末の午前中、公園で十枚撮る」と決めると、必要なのは高価な最新機種ではなく、“その場で撮る体験”だと気づきます。
帰宅後に写真を見返せば、自分に足りない機能や欲しいレンズが具体的に見え、次の選択が軽くなります。

「間違ったゴールだったらどうしよう」と心配になることがありますが、ゴールは方向性を示すものです。
歩き出せば景色が変わり、新たな情報が集まります。
間違いはやり直しではなく、解像度を上げるプロセスです。
「途中で気が変わったら?」という不安は、むしろ良いサインです。
昨日の基準から抜け出せた証拠ですから、その都度「今の自分にとって何が重要か」を言葉にし直せば十分です。
「忙しくて時間がない」という声には、10分で十分とお伝えします。
小さな実行を3回重ねる方が、完璧な準備を一度待つより、フィルターの書き換え効果は大きくなります。

変化は意志の強さからではなく、見え方の更新から始まります。
だからこそ、完璧な計画より「とりあえずのゴール」。楽しめる小さな一歩を今日の予定にそっと置いてみてください。
同じ道を歩いているのに、数週間後には目に入る情報と浮かぶ選択肢が変わっているはずです。
昨日の繰り返しから抜け出す最短ルートは、軽やかな着手にあります。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

目次