心の中の言葉が、人生の舵を握っている

あなたは今日、心の中でどんな言葉をつぶやいたでしょうか。

朝、目覚まし時計を止めたとき。通勤電車の中でスマホを眺めているとき。会議で発言を求められた瞬間。家に帰って一息ついたとき。その一つひとつの場面で、私たちは声に出さずとも、頭の中で自分自身に話しかけています。

この内なる言葉を「セルフトーク」と呼びます。そして、このセルフトークこそが、あなたの人生の方向を静かに、しかし確実に決めているのです。

目次

同じ出来事でも、心の中の言葉で未来が変わる

たとえば、仕事で新しいプロジェクトを任されたとします。

ある人は「また面倒な仕事が増えた」「自分には荷が重い」とつぶやきます。すると、会議では消極的な発言が増え、行動も守りに入りがちになります。

別の人は「期待されているのかもしれない」「成長のチャンスだ」とつぶやきます。すると、自然と前向きな提案が生まれ、周囲との協力も得やすくなります。

状況は全く同じなのに、心の中の言葉一つで、その後の行動も結果も大きく変わっていきます。これは能力の差ではありません。日々の内側の言葉の差なのです。

セルフトークが「自分らしさ」をつくっていく

セルフトークは、単なるその場の気分ではありません。毎日繰り返される言葉は、少しずつあなたの「セルフイメージ」を形づくっていきます。

セルフイメージとは、「自分はこういう人間だ」という自己認識のことです。これは一度の大きな出来事で決まるのではなく、日々の小さなセルフトークの積み重ねで形成されます。

たとえば、何か新しいことに挑戦して失敗したとき。「やっぱり自分には向いていない」と繰り返しつぶやいていると、「挑戦しても無駄な人間だ」というセルフイメージが少しずつ固まっていきます。逆に、「今回は学びが多かった。次はここを変えてみよう」とつぶやく習慣があれば、「失敗から学んで成長できる人間だ」というセルフイメージが育っていきます。

このセルフイメージが、あなたの行動の「当たり前」を決めます。そして、その「当たり前」の範囲が、あなたのコンフォートゾーン(心地よい領域)となっていくのです。

ネガティブな言葉が浮かんだら「自分らしくない」と手放す

とはいえ、セルフトークをいつも完璧にポジティブに保つのは現実的ではありません。疲れている日、うまくいかなかった日、誰かの一言が心に刺さった日には、ネガティブなつぶやきがふと浮かんでくるものです。

ここで大切なのは、ネガティブな言葉を「なくそう」とすることではありません。浮かんでくること自体は自然な反応です。

重要なのは、それを「真実として採用しない」ことです。

「どうせ自分には無理だ」「また失敗するに決まっている」「周りの人より劣っている」——こうした言葉が浮かんだとき、それをそのまま信じてしまうと、セルフイメージに刻み込まれてしまいます。

代わりに、こう考えてみてください。「あ、今ネガティブな言葉が出てきたな。でも、これは本来の自分らしくない。ゴミ箱に捨てよう」と。

浮かんだ言葉は「古いクセ」や「ただの雑音」として処理してよいのです。採用するかどうかは、あなたが選べます。

「未来の自分」から言葉を選ぶ

では、どんな言葉を選べばよいのでしょうか。

ここで一つ、強力な問いかけがあります。

「ゴールを達成した自分なら、この場面でどんな言葉を選ぶだろうか?」

今の気分や過去の失敗から言葉を選ぶのではなく、理想の未来に立った自分の視点から言葉を選び直すのです。

たとえば、人前でプレゼンする前に緊張しているとき。「失敗したらどうしよう」と言う代わりに、「この話には伝える価値がある。相手の役に立てる」と言い換えてみる。

新しいことに挑戦しようか迷っているとき。「自信がないからやめておこう」と言う代わりに、「自信は行動した後についてくる。まず一歩踏み出してみよう」と言い換えてみる。

仕事でミスをして落ち込んでいるとき。「やっぱり自分はダメだ」と言う代わりに、「学びが取れた。次はここを改善しよう」と言い換えてみる。

言葉が変わると、同じ状況でも選ぶ行動が変わります。行動が変われば、現実も少しずつ変わっていきます。

日常のあらゆる場面がセルフトークの練習場

セルフトークを整えることは、特別な訓練を必要としません。日常のあらゆる場面が、練習の機会になります。

朝、鏡の前で「今日も頑張ろう」と自分に声をかけてみる。通勤中に「今日はどんな発見があるだろう」とワクワクしてみる。仕事中に小さな成功があったとき「これが自分らしい」と認めてみる。失敗したときは「学びがあった」と言い換えてみる。

こうした小さな言葉の選び直しを、一日に何度も繰り返していく。すると、あなたの内側の「言葉の環境」が少しずつ変わっていきます。

言葉の環境が変われば、セルフイメージが変わります。セルフイメージが変われば、行動の「当たり前」が変わります。当たり前が変われば、日々の選択が変わり、やがて人生そのものが変わっていきます。

心の言葉を整えることは、未来への投資

セルフトークのコントロールは、単なる気分転換やポジティブシンキングではありません。あなたのセルフイメージをつくり、行動の質を高め、ゴールに向かうエネルギーを育てる、具体的で実践的な技術です。

ネガティブな言葉が浮かんだら「自分らしくない」と手放し、迷ったときは「ゴールを達成した自分ならどう言うか」と問いかけてみる。そして、うまくいったときには「これが本来の自分だ」と静かに認めてあげる。

この繰り返しが、あなたの内側から未来を変えていきます。

あなたの人生の舵を握っているのは、環境でも他人でもなく、あなた自身の心の中の言葉です。今日から少しずつ、その言葉を意識して選んでみてください。きっと、見える世界も、感じる手応えも、静かに、しかし確実に変わっていくはずです。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

目次