まず知っておいてほしいのは、「あなたにはまだ未開発の能力がある」ということです。
これまでの経験や成果に関わらず、私たちの力は固定されていません。
脳は生涯にわたって変化し成長する特性(可塑性)を持ち、使い方次第で新しい回路を形成し、可能性を広げることができます。
「人は脳の数パーセントしか使っていない」という表現は誤解を招きますが、日常で発揮されている力には大きな成長の余地があるという点は事実です。
眠っているのは能力そのものではなく、「まだ試していない使い方」や「発揮する機会」です。
英語が苦手だと思っていても、リスニングが弱くても語順の感覚を早くつかめる人がいます。
プレゼンが不安でも、構成を組み立てること自体は得意な人もいます。
発揮する場面や方法を少し変えるだけで、同じ人の中にある力の見え方は大きく変わります。
これまでの成果は、これまでのやり方の結果にすぎません。
学び方、環境、評価の方法を変えれば、脳は新しいパターンを学習します。
つまり、未来の結果は過去の延長ではなく、今日の設計で新たに作り上げることができるのです。
過去にとらわれず、これからの行動設計に意識を向けることが、眠っていた力を「使える力」へと変えていきます。
英語学習なら、通勤中に英語ニュースを短時間だけ聞いて耳を慣らし、夜は数分だけ発音練習をする、といった役割分担が効果的です。
朝は受動的なインプット、夜は口を動かす能動的な練習に切り替えることで、数週間もすれば「聞けない」が「ところどころ拾える」へ、「発音が恥ずかしい」が「短い文なら言える」へと段階的に変化していきます。
体力づくりでつまずく人は、夜の歯磨き前に一分だけスクワットをする、といった小さな習慣から始めると続きます。
終えたらカレンダーに丸印をつけ、七日連続の丸印が途切れないように意識すると、「運動する自分」という自己像が静かに育ち、次のステップに進みやすくなります。
はじめに必要なのは、根拠を集めることよりも、前提を宣言することです。
「私にはまだ伸びる余地がある。だから、伸ばす前提で設計する」。
この前提が行動の選び方を変えます。
例えば「英語の勉強が続かない」という嘆きは、「続く形に作り替える」という設計課題に変わります。
時間配分を見直す、方法を分ける、結果の測り方を変える。前提が変われば、打ち手も自然に変わります。
過去のやり方が今の結果を作りました。
ならば、今日のやり方が明日の結果を作るはずです。
「眠った能力はある」と決め、小さな実験を設計し、記録し、調整する。
これだけで未来のカーブは静かに、しかし確実に曲がっていきます。