「本番になると、いつもの力が出せない」「頑張っているのに空回りしている気がする」
もしあなたがそう感じているなら、それは能力が足りないからではないかもしれません。
実は、無意識のうちに「緊張」を抱え続けていることで、本来の力にブレーキがかかっているだけかもしれないのです。
今日は、なぜ「コンフォートゾーン」にいるときに最高のパフォーマンスが発揮されるのか、そしてどうすればそこに戻れるのかについてお伝えします。
コンフォートゾーンは「怠けている状態」ではない
コンフォートゾーンと聞くと、「楽をしている状態」「成長が止まっている場所」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、ここで言うコンフォートゾーンとは、「心と身体に余計な力みがなく、安心して本来の力が出せる状態」のことです。
たとえば、同じ内容を話しているのに、場所が変わるだけで話しやすさが大きく変わることがあります。
職場の会議室では言葉が詰まるのに、カフェで友人に説明すると驚くほどスラスラ話せる。
初対面の人の前では緊張するのに、いつものメンバーの前では自然に笑えて、アイデアも次々と出てくる。
こうした違いは、能力の差ではありません。
環境が「安心感」をつくるか「緊張感」をつくるかによって、パフォーマンスが変わっているのです。
コンフォートゾーンにいるとき、人は判断も動きも滑らかになり、「本来の力」がそのまま発揮されやすくなります。
「リラックス」こそが、コンフォートゾーンへの入り口
では、コンフォートゾーンに入るための鍵は何でしょうか。
それは「リラックス」です。
ただし、ここで言うリラックスは、ぼんやりすることや、だらけることではありません。
余計な力みをほどいて、呼吸が深くなり、視野が広がり、普段の自分に戻ること。
言い換えるなら、頑張って何かを「足す」のではなく、無意識の力みを「引いて」本来の力を取り戻すことです。
あなたもきっと、「緊張しすぎて上手くいかなかった」という経験はあるはずです。
ところが不思議なことに、「リラックスしすぎて失敗した」という経験は、あまり思い当たらないのではないでしょうか。
緊張は力を奪いますが、リラックスは力を引き出すのです。
緊張は表情に出る。でも自分では気づきにくい
多くの方は、緊張している状態が日常の標準になっています。
仕事の締切、周囲への気遣い、失敗したくない気持ち、家のこと。
そうしたものが積み重なると、本人が気づかないうちに、ずっと力が入ったままになりやすいのです。
そして、緊張はまず表情に現れます。
眉間に力が入る、口角が下がる、呼吸が浅くなる、肩が上がる。
こうした変化は、本人よりも周りの人が先に感じ取ることがあります。
しかし厄介なのは、自分の表情は鏡を見ないと気づきにくいということです。
だからこそ、「鏡」は洗面所にあるものだけではなく、周りの人の表情や態度もまた、あなたを映す鏡になります。
話している途中で相手の表情が固くなる。場の空気が急に張りつめる。家族に声をかけても反応が薄い。
もちろん相手の事情もありますが、同時に、そこに「今のあなたの緊張」が映っている可能性もあるのです。
セルフトークが「緊張」をつくっている
緊張の背景には、しばしばセルフトーク(頭の中のつぶやき)が関わっています。
「失敗したらどうしよう」
「ちゃんとやらなきゃ」
「相手にどう思われるだろう」
こうした言葉が頭の中で繰り返されていると、身体は自動的に緊張モードに入ります。
心臓が速くなり、筋肉がこわばり、視野が狭くなる。これは、脳が「危険な状況だ」と判断しているからです。
つまり、セルフトークを変えることは、緊張を手放すための有効な方法でもあります。
「今、私は安全だ」
「完璧じゃなくて大丈夫」
「いつも通りでいい」
こうした言葉を意識的にかけてあげることで、身体に「安全だよ」というメッセージが届き、緊張がほどけていきます。
最高のパフォーマンスは「頑張る」の先にあるのではない
最高のパフォーマンスは、無理に頑張り続けた先にあるというより、安心して力を出せる状態から生まれます。
もし最近「空回りしている」「本来の力が出ない」と感じるなら、能力が足りないのではなく、緊張が積み重なっているだけかもしれません。
コンフォートゾーンは、遠くに探しに行くものではなく、今この瞬間に「戻る」ことができる場所でもあります。
今日から、ほんの少しだけ。
自分の緊張に気づいたら、力を抜いてみてください。
周りの鏡に目を向けて、そこに緊張した自分が映っていたら、合言葉は一つです。
リラックス。
その小さな変化が、あなたの本来の力を引き出し、パフォーマンスを静かに、しかし確実に変えていきます。
あなたには、リラックスするだけで発揮できる力が、すでにあるのです。
