「努力してる自分」に違和感を覚えたら

忙しい毎日を送っていると、ふと「心を亡くしてしまったようだ」と感じる瞬間があります。
仕事や家事、頼まれごとに追われる中で、自分が本当にやりたいことが見えなくなる──そんなときには、一度立ち止まって「本当に自分は want to(やりたい)で動いているか」を確かめてみましょう。
特に「いま、自分は努力している」と感じるときには要注意です。

「努力」という言葉は一般的に肯定的に受け取られがちですが、本来は「本当はやりたくないことを無理して行う」ことを指します。
たとえば苦手な上司の資料を深夜まで作成するのは、誰かに言われたから仕方なく取り組んでいる状態であり、心の底から楽しいとは言えないでしょう。
このような場合、行為自体は「我慢」であって、努力という言葉で美化されるものではありません。
一方で、自分が本当に好きなことに没頭しているときは、たとえ時間や体力を費やしても苦痛には感じず、その行為を「努力」とは思わないはずです。
休日に趣味のカフェ巡りを計画し、友人と楽しく過ごすためにあれこれ調べたりルートを考えたりするのは、まさに want to による行動です。
心の底から「もっと素敵なお店を見つけたい」「友人と共有したい」という気持ちが原動力となり、あっという間に時間が過ぎていきます。

まず「時間の感覚」に注目してみましょう。
やりたいことに取り組んでいると、集中状態になりやすく、いつの間にか数時間が経過していたという経験があるはずです。
逆に「やらなければならない」と思いながら進める仕事では、時計を見るたびに「まだ終わらないのか……」と時間が長く感じられることが多いものです。
次に「身体の反応」に耳を澄ませてみてください。
楽しいと感じながら行動しているときは、疲労をあまり意識せずに体がスムーズに動きます。
たとえば、新しいプログラミング言語を学びたいと思っている人なら、夜遅くまでコードを書いても苦にならないでしょう。
しかし義務感だけで取り組んでいるときは、肩や目に重みを感じ、途中で投げ出したくなる場面が増えがちです。
さらに「感情の変化」を見逃してはいけません。want to で取り組むと、作業後には達成感や充実感が得られ、前向きな気持ちを抱くことができます。
反対に、have to(やらなければならない)だと感じるときには、どんなに仕事をこなしても消耗感ばかりが残り、次のタスクに向かう気力が湧きにくくなります。

「いま、自分は努力している」と感じる瞬間は、自分の成長やゴールのためとは限りません。
知らず知らずのうちに「頑張ること=美徳」という観念に染まり、他人の都合を優先して動いてしまっている場合もあるからです。
たとえば上司から「みんなが残業しているからおまえもやれ」「部長が急ぎの資料を仕上げてほしい」と責任感をあおられると、本来ならば自分の業務の優先順位を考えるべきところを「とにかく頑張らなければ」と思い込んでしまうケースがあります。
このように他人の期待や圧力に振り回され続けると、自分の本当のゴールが見えなくなり、心身をすり減らすリスクが高まります。
だからこそ、「自分が本当に want to しているか」を常に問い直すことが大切です。

まず自分がどこに向かいたいのかをはっきりと言葉にしてみましょう。
ゴールを設定することで、毎日の行動が want to なのか have to なのかを明確に判断できるようになります。
そして、そのゴールに向かうために取り組んでいる作業が、本当に自分の意思から出ているのかどうかをよく確かめてみてください。
たとえば英語学習において、「将来のゴール達成につながる」と納得して毎日継続しているのであれば want to の状態でしょう。
しかし「英語が苦手だから仕方なく勉強している」と思いながら取り組んでいるときは have to の状態です。
また、want to の状態であるならば、困難に直面しても「どうすれば楽しく続けられるか」と自ら工夫し、学習プランを柔軟に見直しながら取り組むでしょう。
しかし「なんでこんなことを続けているんだろう……」と疑問を感じるなら、一度立ち止まり、ゴール再検討する必要があります。

まずは自分自身に問いかけることから始めます。
「なぜこの作業をしているのか」「本当にこれをやりたいのか」「もし時間やお金の制約がなかったら、今何をしたいか」など、心の中で素直に答えを引き出してみましょう。
こうした問いかけを繰り返すことで、自分が本当に大切にしている価値観や願いが浮かび上がってきます。

とくに休み明けや繁忙期など忙しさが増すと、「自分は本当に want to で動いているのか」という問いかけを忘れてしまいがちです。
それでも、心も体も疲弊しきってしまう前に、一度立ち止まって自分の行動を振り返ってみることが重要です。
「努力している」と感じる瞬間は、自分のゴールにつながっているかを見極めるサインでもあるからです。
もし「今、自分は努力しているな」と感じたときには、まず「なぜ?」という問いかけを行い、ゴールとのつながりを再確認しましょう。
そして、あなた自身の心と体が自然に動き出す、本当の want to を取り戻すことができれば、忙しい毎日でも充実感を失わずに過ごせるはずです。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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