ゴール設定はなぜ「最初の一歩」なのか――脳の仕組みと実践法

コーチングにおいて「ゴール設定」は基本中の基本です。
これは単なるスローガンではなく、脳の働きに基づいた合理的なプロセスです。
まずゴールを設定すると、方法は自然と見えてきます。
まさに「ゴールが先、方法は後」という考え方です。

私たちの脳は、膨大な情報の中から「重要」と判断したものだけを選び出し、現実を構築しています。
昨日重要だと思ったことは、今日も明日も重要に見えがちです。
その結果、世界は「昨日の延長」として編集されます。
この選別作業を担うのが、注意の門番であるRAS(網様体賦活系)です。
したがって、「何を大切とみなすか」を更新しない限り、見える世界は変わりません。

例えば、「今度バレーボールを生で観たい」と決めた瞬間から、ニュースや駅のポスター、SNSのタイムラインに関連情報が不思議と目に入るようになります。
これは偶然ではなく、ゴールを設定したことでRASが「これは大事」と判断し始めたからです。
英語学習や健康づくり、キャリアの見直しでも同様の現象が起こります。
未来にゴールを掲げると、それに向かう手がかりが自然と目立ち始めます。

「マインド(心と体)」を変えない限り、脳は過去の基準で世界を編集し続けます。
そこで、現状を超えた背伸びが必要な場所にゴールを設定します。
現状の延長では届かないゴールに焦点を合わせると、これまで見過ごしていた情報が「重要」に格上げされ、RASを通過しやすくなるのです。
ゴールがなければ、脳は過去に重要だったものばかりを拾い続けます。
だからこそ、最初に必要なのは計画ではなくゴールそのものです。

方法が決まらずに足踏みしてしまうときは、完璧な計画を先に作ろうとせず、仮の計画で動き、見えてきた事実で更新するリズムに切り替えます。
ゴールが方法を引き寄せます。
他人の評価に影響されて自分の情熱が冷めるときは、言葉の主語を「自分」に戻し、感情が動く表現に微調整します。
過去のパターンに戻りやすいと感じたら、朝や通勤前など決まったタイミングでゴール文を音読し、視覚イメージを短時間でも再生する習慣をつくります。
ルーティン化すると、RASの感度が安定します。

過去の基準で編集された世界から抜け出すためには、まずゴールを設定し、RASの重要度設定を更新することが重要です。
現状の外にゴールを掲げ、「ゴールが先、方法は後」の順で進む。
方法は、歩き出したあなたの前に、必要なタイミングで現れます。
だからこそ、今ここから――ゴール設定を始めましょう。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

目次