ゴール設定で脳のフィルターを変える

「ゴールを設定しましょう」と言われると、なかには「何を目指せばいいのか分からない」「本当に実現できるのか不安」と悩み始めてしまう方がいます。
特に、社会生活を長く送り、慣れ親しんだやり方や価値観を持っている人ほど「もし失敗したらどうしよう」「本当に効果があるのか?」と自らブレーキをかけてしまいがちです。

このように、不安材料を増やす思考回路が働くのは、脳の情報フィルタリング機能が大きく関係しているからです。

私たちの脳は、日々膨大な情報を処理しています。
その中で「自分にとって重要だ」と判断したものだけを優先的に取り出すしくみを、網様体賦活系(RAS:Reticular Activating System)と呼びます。
たとえば新しいスマートフォンを購入すると、その機種と同じデザインのスマホが街中に急に目につく経験をしたことがあるでしょう。
これは、あなたの脳が「今、私はこのスマホに興味がある」と認識し、その関連情報を優先してフィルタリングしているからです。

しかし問題なのは、「脳が何を重要だと判断するか」という基準を過去の自分が決めている点です。
つまり、「昨日までの自分が重要と感じていたもの」しかフィルタリングされず、結果として日々の意識や行動が過去の延長線上に留まりやすくなります。
たとえば「自分は人前で話すのが苦手だ」と思い込んでいる人は、新しいプレゼンの機会が訪れても、脳が無意識に「これは自分にとってリスクがある情報だ」と判断してしまい、自らチャンスを見えなくしてしまうのです。

では、どうすれば脳のフィルタリングを変えて、新しい情報を取り込みやすくなるのでしょうか。
その手段の一つが「ゴール設定」です。
ゴールを設定し、意識的に脳へ「これは重要だ」と教えることで、関連する情報やチャンスに自然と注意が向くようになります。

ゴール設定を行うと、視点が変わるというメリットがあります。
たとえば「社内貢献のため海外出張で自信を持って交渉したい」というゴールを立てると、日常生活の中で英語のフレーズや教材に対して敏感になります。
通勤電車の中で英会話アプリを起動したり、SNSで英語学習コミュニティをフォローしたりといった行動が自然と増えていくでしょう。
これまで意識していなかった看板や広告、会話中のわずかな英語表現にも気づけるようになるのは、そのゴールが脳に「重要だ」と認識させるからです。

いきなり完璧な計画を立てようとすると、かえって余計な悩みが生まれて手が止まってしまうことがあります。
そこでおすすめなのが、まずは簡単で身近なゴールを設定してみることです。
“とりあえずのゴール”でも、脳は「これを達成すればいいんだな」と認識し、そのために必要な情報を探し始めます。
たとえば今週中にランニングシューズをネットで調べてみる、というだけでも、ランニング関連のサイトやレビュー記事に触れるきっかけになり、自然と次の行動が生まれてきます。

ゴールを設定する際に最も大切なのは「自分がワクワクするかどうか」です。
義務感やプレッシャーだけで突き進もうとすると、途中で息切れしてしまうことが多いからです。

楽しさを取り入れるにはまず、目に見える形でゴールを視覚化してみましょう。
たとえばスマートフォンの壁紙やパソコンのデスクトップに、達成した自分の姿や完成イメージの写真を設定しておくと、ふとした瞬間にモチベーションが湧きます。

脳は過去に自分が重要だと感じた情報しか見えないため、そのままでは昨日までの自分の延長線上で考えがちです。
しかし、ゴールを設定することで脳に「これは重要だ」と教え、新たな情報やチャンスをキャッチしやすくなります。
最初から完璧なゴールを設定する必要はありません。
「とりあえず」できる小さなゴールを設定し、まずは一歩を踏み出してみましょう。
楽しみながら行動を重ねることで、自然とマインドが変わり、新たな自分の世界が開けてきます。
まずは自分が「これをやりたい」と心から思えるゴールを明確にし、一歩ずつ前に進んでみてください。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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