言葉の世界で生きている私たち——セルフトークが人生を動かす理由

あなたは今日、何回「言葉」を使ったでしょうか。

朝、スマホでニュースをチェックしたとき。メールを開いて仕事の依頼を読んだとき。同僚と打ち合わせをしたとき。帰宅して家族と会話したとき。そして、頭の中で「今日は疲れたな」「明日はあれをやらなきゃ」とつぶやいたとき。

私たちの一日は、言葉であふれています。そして実は、この世界そのものが「言葉」でできているのです。

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この世界は「言語空間」で回っている

目に見えるモノだけで世界が成り立っていると思いがちですが、実際には私たちの日常のほとんどが「言葉で定義されたルール」の中で動いています。

たとえば会社で働くこと。「労働契約」「就業規則」「評価制度」——どれも言葉で書かれた約束の上に成り立っています。上司の指示、会議の議事録、メールのやり取り、すべてが言葉を土台にしています。

買い物も同じです。ネットで「クリックして購入」する行為は一見シンプルですが、そこには「価格」「送料」「返品条件」「支払い方法」「利用規約への同意」など、言葉で決められた世界が広がっています。

お金の価値も、法律も、社会のルールも、すべて言葉によって定義され、共有されています。私たちは知らないうちに、言葉がつくり出した世界——「言語空間」の中で生きているのです。

だからこそ、「自分が使う言葉」には大きな力があります。

言葉は「外」だけでなく「内」にもあふれている

私たちの生活空間は、想像以上に言葉であふれています。

  • スマホの通知、ニュース、SNSの投稿
  • 仕事の指示、チャット、メール
  • 家族や友人との会話

こうした「外側の言葉」だけではありません。もう一つ、膨大な量の言葉が存在する場所があります。

それは、あなたの頭の中です。

「今日のプレゼン、うまくいくかな」「あの人、どう思っただろう」「自分はまだまだだな」——声に出さなくても、私たちは常に心の中で自分自身に話しかけています。この「内なる言葉」が、セルフトークです。

外側の世界も、内側の世界も、言葉で満たされている。そして、この世界が言語空間でできているからこそ、あなたのセルフトークは想像以上に大きな力を持っているのです。

セルフトークが「現実の感じ方」を変えていく

セルフトークの力は、単に気分を左右するだけではありません。現実そのものの「見え方」や「感じ方」を変えてしまうのです。

たとえば、同じ「プレゼンをする」という出来事があったとします。

  • 「失敗したら終わりだ」とつぶやく人は、緊張が増し、できれば避けたいと感じます
  • 「練習すれば良くなる」とつぶやく人は、自然と準備に向かいます
  • 「この経験は次につながる」とつぶやく人は、挑戦に意味を見出します

状況は同じなのに、心の中の言葉が違うだけで、次の行動が変わります。行動が変われば結果が変わり、結果が変われば自分の未来が変わっていきます。

これは、言葉が現実を”説明する”だけでなく、現実への”反応”や”判断”そのものを形づくっているからです。私たちは言葉を通して世界を理解し、言葉を通して行動を選んでいます。だからこそ、セルフトークを変えることは、世界の捉え方を変えることでもあるのです。

言葉に「臨場感」を持てると行動が変わる

ここで一つ、大切な視点があります。それは「言葉に臨場感を持つ」ということです。

臨場感とは、言葉が示している状況を「自分の現実として感じられる」感覚です。

たとえば「健康に気をつけよう」という言葉を見たとき、ただ知識として受け取るだけでは、行動はなかなか変わりません。しかし、「このままだと将来どうなるだろう」「元気に動ける体で、こんな生活を送りたい」と、言葉が自分の未来像に結びついた瞬間、行動が自然と変わり始めます。

ゴール達成も同じです。

ゴールを紙に書いただけでは、日常の優先順位はなかなか変わりません。けれど、ゴール側の言葉に臨場感が生まれると、「気づいたらそっちを選んでいた」という感覚が増えていきます。やらされ感ではなく、自分から選びたくなる状態になるのです。

言葉に臨場感を持てる人は、自分の行動を自分で動かせる人です。そしてその力は、セルフトークをコントロールすることで育てていくことができます。

ネガティブな言葉が浮かんだら「切り替える」

とはいえ、セルフトークを常にポジティブに保つのは現実的ではありません。

「どうせ無理だ」「また失敗するかもしれない」「自分には価値がない」——疲れている日や、うまくいかなかった日には、こうした言葉がふと浮かんでくるものです。

ここで大切なのは、ネガティブな言葉を「なくそう」とすることではありません。浮かんでくること自体は、人間として自然な反応です。

重要なのは、それを「真実として採用しない」ことです。

「あ、今ネガティブな言葉が出てきたな」と気づいたら、「これは本来の自分らしくない」と一度距離を置いてみる。そして、少しだけ前向きで現実的な言葉に置き換えてみる。

  • 「無理」→「まずは一歩だけやってみよう」
  • 「最悪だ」→「改善点が見えた」
  • 「自分はダメだ」→「今回の経験から学べることは何だろう」

大げさに変えなくて大丈夫です。ほんの少し言葉を変えるだけで、次の行動へのハードルが下がり、一歩が踏み出しやすくなります。

「未来の自分」の視点で言葉を選ぶ

どんな言葉を選べばいいか迷ったときには、一つの問いかけが役に立ちます。

「ゴールを達成した自分なら、この場面でどんな言葉を選ぶだろうか?」

今の気分や過去の失敗からではなく、理想の未来に立った自分の視点から言葉を選び直すのです。

たとえば、新しいことに挑戦しようか迷っているとき。「自信がないからやめておこう」と言う代わりに、「自信は行動した後についてくる。まず一歩踏み出してみよう」と言い換えてみる。

仕事でミスをして落ち込んでいるとき。「やっぱり自分はダメだ」と言う代わりに、「学びが取れた。次はここを改善しよう」と言い換えてみる。

未来の自分から見れば、今の出来事は「通過点」であり、「成長の材料」です。その視点に立つことで、言葉が変わり、行動が変わり、現実が少しずつ動き始めます。

言葉を整えることは、未来を整えること

私たちは言葉でできた世界に生きています。仕事も、人間関係も、社会のルールも、言葉で定義され、言葉で動いています。

そして、自分自身の内側もまた、言葉で満たされています。

だからこそ、セルフトークをコントロールすることには大きな意味があります。それは単なる気分転換やポジティブシンキングではなく、自分が生きる「言語空間」そのものを整える行為です。

ネガティブな言葉が浮かんだら、「これは自分らしくない」と手放す。迷ったときは、「ゴールを達成した自分ならどう言うか」と問いかけてみる。うまくいったときには、「これが本来の自分だ」と静かに認めてあげる。

この繰り返しが、あなたの内側から未来を変えていきます。

あなたの人生を動かしているのは、環境でも他人でもなく、あなた自身の心の中の言葉です。今日から少しずつ、その言葉を意識して選んでみてください。言葉が変われば、見える世界が変わります。そして、見える世界が変われば、人生そのものが静かに、しかし確実に変わっていくはずです。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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