隣の部署に「評判が悪い」とされる方がいました。私もその噂を聞いて、「最悪の人だ」と思い込んでいました。しかし、あるプロジェクトでその方と直接関わる機会があり、実際に接してみると、それまでの印象が大きく変わりました。
私が感じたのは、「他人の評価は一部だけを見たもので、必ずしも正確ではない」ということです。ある一面だけで判断された評価は、その人の全体像を捉えていません。広い視点でその方を見た時、最初の印象とは全く異なるものになりました。
さらに驚いたのは、その方が周囲の評価を全く気にしていなかったことです。俗に言う「出来る人」とは、まさにこういう人なのだと思いました。他人の評価を気にしすぎる人は、他者の反応を期待し、見返りを求めがちです。しかし、他人の評価に左右されない人は、自分の基準を持ち、それに基づいて行動しています。
他人の評価を気にするということは、他人の「評価基準」を自分の中に取り込んでいるということです。評価基準とは、その人が何を重要とし、どう判断するかという価値観のことです。他人の基準を軸にしてしまうと、知らず知らずのうちに自分の行動や考え方が相手の期待に縛られてしまいます。
ここで大切なのは、自分の評価基準を見つめ直すことです。私たち一人ひとりが「自分の宇宙」を持っており、その中で何を重要視するかは自分で決めることができます。そして、自分の宇宙の中で自分を幸せにできるのは、他でもない「自分自身」です。
「スコトーマ」という言葉があります。これは心理学用語で、「盲点」を意味します。私たちは、自分が重要だと思うものしか意識に上らせることができません。そのため、他人の評価ばかりを重要視していると、本来の自分にとって大切なものが見えなくなってしまうのです。
他人の評価を気にしすぎる人は、往々にして「自分の軸」が曖昧になりがちです。自分の軸を持つためには、まず現在の自分を受け入れることから始めましょう。自己評価を高めるためには、外部の声ではなく、自分自身の価値基準で物事を判断する練習が必要です。
例えば、こう自問してみてください。
「自分が本当に大切にしたいものは何だろう?」
「誰かにどう見られるかではなく、自分自身が満足する行動とは?」
こうした問いを通じて、自分の価値観を見つめ直すことが、他人の評価から解放される第一歩となります。
他人の評価基準を受け入れて生きることは、自分の人生を他人に委ねることと同じです。しかし、自分の人生を豊かにし、幸せを感じられるのは、他でもない自分自身の力です。
ぜひ、自分自身の評価基準を明確にし、自分の宇宙を見つめ直してみてください。周囲の評価に左右されない強さを持てた時、きっと「出来る人」の仲間入りを果たしているはずです。他人の評価に惑わされず、自分らしい人生を歩むための第一歩を踏み出してみませんか?