ゴールを設定するだけでは、私たちの意識はまだ「現在の自分」にとどまりがちです。
旅行の計画を立てても、慣れ親しんだ部屋の快適さをすぐには忘れられないように、ゴールを掲げた直後も現状の感覚が優勢になることがあります。
しかし、脳は一度に一つの鮮明なイメージしか処理できないため、未来のゴールを今以上にリアルに感じることが、行動を促す重要な要素となります。
脳には「網様体賦活系(RAS)」という情報を選別する機能があり、重要と判断したものに注意を向けます。
例えば、新しいスマホケースを買うと、そのデザインばかりが目に入るのは、このRASの働きによるものです。
同様に、ゴールのイメージを繰り返し強化することで、関連する情報やチャンスが自然と目に飛び込んでくるようになります。
結果として、現状を超える未来のイメージが「すでに起こったこと」として脳に錯覚させ、行動を後押しします。
例えば、マラソン完走を目指すとき、単に「走り切りたい」と考えるのではなく、スタートラインに立つ早朝の空気や観客の声援、ゴールテープを切る瞬間の興奮、完走メダルの重み、そして友人や家族に笑顔で迎えられる場面まで、視覚・聴覚・触覚・感情を総動員して頭の中で再生します。
こうした詳細なイメージを何度も描くことで、脳に「もう達成している」という強い信号を送り、実際の行動につなげやすくなります。
旅行の計画を立てる際、多くの人はまず情報収集を始めます。ガイドブックをめくったり、YouTubeで現地の風景を見たり、VRツアーを体験したりするのは、行き先を五感で感じたいからです。
同じ手法をゴール達成にも応用しましょう。
まずはブログや映像でゴールの具体像を集め、次に自分で撮影した写真やイラスト、キーワードを組み合わせたビジョンボードを作成します。
最後に、そのゴールに至るまでのストーリーを「いつ・どこで・誰と・何をするか」という旅程のように組み立てます。
このプロセスを経ることで、ゴールは単なる「やりたいこと」から、すぐそこにある「リアルな体験」へと変わります。
臨場感を持続させるためには、習慣化が重要です。
例えば、毎朝5分間だけ目を閉じてゴールを達成した自分を思い浮かべる時間を作ると、その日一日のモチベーションが高まります。
また、スマホの待ち受け画面に未来を象徴する写真やメッセージを設定しておけば、無意識のうちにイメージが刷り込まれます。
リラックスしながら、今すぐ心のスクリーンに未来の自分を映し出してみてください。
ゴールは、すでにあなたの中で動き始めています。