ネガティブバイアスを超える思考術

私たちは天候や季節の変化といった「自然の営み」を変えることはできませんが、物事の捉え方や認識はいつでも見直すことができます。
重要なのは、ただ耐えるのではなく、出来事の意味を自分で再構築することです。
視点が変われば行動が変わり、行動が変われば結果も変わります。

人間の記憶はネガティブな出来事を強く記憶する傾向があります。
これは危険を早く学び避けることで生存率を高めるための進化の名残です。
しかし、現代ではこの傾向が自己評価や世界の見方を不必要に低くしてしまうことがあります。
昨日の小さな失敗が頭の中で大きくなり、同じ日にあった成功や貢献は見過ごされてしまうことも少なくありません。

脳は常に広範囲にわたって活動しており、普段は慣れ親しんだ回路を優先して使うため、視点や捉え方が固定化されがちです。
問題は「使っていない」ことではなく、「使い方が偏っている」ことです。
意図的に視点を変える練習を通じて、眠っている“使い方”を目覚めさせることができます。

会議で指摘を受けたとき、「粗探しをされた」と捉えると萎縮してしまい、次の発言が減ります。
しかし、「改善のヒントをもらえた」と考えると、次回に向けて仮説を立て直し、発言の質が向上します。
子どもや部下に声をかける際も同様です。
「できていない点」から始めると緊張が増し挑戦が減りますが、「うまくいった一つ」を具体的に言語化すると、再現したい行動が明確になり学習が加速します。
営業や交渉で失注したとき、「能力不足の証拠」と見れば自己効力感は下がりますが、「仮説が外れたというデータ」と見直せば、次回は提案の順序や検証質問を変える発想が自然に出てきます。

「過大評価くらいがちょうどいい」
ここでいう“過大評価”は根拠のない自慢ではなく、「私はもっとやれるはずだ」という仮説に先に許可を出し、小さな実験で確かめ、結果に応じて調整するという姿勢のことです。
自信を持って行動し、観察して修正する。
このループを回すほど、自己評価と現実のギャップは自然に狭まります。

言葉は注意のハンドルです。
「苦手だ」は「まだ慣れていない」に置き換えるだけで、練習の余地に目が向きます。
「時間がない」は「優先順位を決めて十分だけ確保する」と言い直すと、行動の設計が始まります。
「指摘された」は「改善のヒントをもらえた」と捉え直せますし、「運が悪い」は「前提の置き方を調整する余地がある」と言い換えられます。
小さな言い換えが、集める情報と次の一歩を変えていきます。

人はネガティブな記憶に偏りやすいという前提を受け入れたうえで、認識は訓練で選び直せます。
観察し、問いを変え、小さな実験を回すこと。
さらに、仮説的な自己評価に先に許可を出し、実験で確かめて調整すること。
自然は変えられなくても、認識は今日から変えられます。
その一歩が、明日の行動と結果を確実に変えていきます。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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