ゴールは変えていい:成長の近道

ゴールを設定することは、夢を現実に近づけるための確実な第一歩です。
しかし、最初に決めたゴールをそのまま守り続けることが唯一の正解ではありません。
新しい情報や発見が増えるにつれて、見える世界は変わっていきます。
そのため、「このゴールは本当に自分のwant to(心からやりたいこと)なのか」「今の延長線上では到達できない新しい領域にあるのか」と、時折自問してみてください。
もし息苦しさや違和感を感じたら、それはゴールを見直すサインです。
ゴールの精度を高めるための前向きな再評価です。

私たちのゴールは、時に周囲の期待や評価、SNSでの成功例に影響されることがあります。
自分で決めたはずのゴールが、振り返ると他人の価値観に依存していたということは珍しくありません。
これは、脳のフィルター機能が働いているためです。
膨大な情報の中から「重要だと思うもの」だけを通し、それ以外を見えにくくする仕組みがあり、心理学ではこの盲点をスコトーマと呼びます。
見えていなかった選択肢に気づくことで、ゴールが自然に変わるのはむしろ健全な反応です。
このとき、下げてはいけないのがエフィカシー、つまり「自分はゴールを達成できる」という確信です。
ゴールの更新は失敗の証ではなく、視野が広がり、より適した目的に進化しただけです。
自分を信じる感覚を保ちながら、目的地を再調整すればよいのです。

朝、ゴールに関する作業に取りかかるのが億劫で、達成後の情景を思い描いても鮮やかさがなく、音や匂い、手触りも感じられない。
誰かの成果と自分を比べる時間が増え、ワクワクよりも不安が勝る。
成果が出ているのに満たされず、「これで良かったのだろうか」と心の中でつぶやく。
こうした小さなノイズは、スコトーマが外れつつあるサインです。
見直すことで、より自分に合ったゴールの輪郭が浮かび上がります。

健康や趣味の分野では、「フルマラソン完走」が目的だった人が、実は「家族と山歩きを楽しめる体力」が目的だと気づくことがあります。
更新後は、週末のトレッキングを習慣化し、平日に脚力とバランスの自重トレーニングを取り入れるなど、続けやすく目的に直結した行動に置き換わります。
学びや表現の分野では、「英語を上級にする」と掲げていた人が、本当は「短編小説を書いて発表したい」と気づくケースがあります。
この場合、毎晩二十分のプロット作成や月一本の公開を柱に据え、必要な表現は作品づくりの中で学ぶという設計に変わります。
手段を目的化せず、情熱の源泉に合わせて基準を再設計することで、自然に継続できるようになります。

「コロコロ変えると一貫性が失われるのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、変えるべきは手段であり、守るべきは価値観の核です。
季節に応じて服を替えるように、戦略も調整して構いません。
「ここまでやったのに無駄になる」という感情も強いですが、費やした時間や努力は学びとして残り、次の挑戦をより速く進めます。
周囲への説明が気になるなら、事実を簡潔に伝えるだけで十分です。
「より良いゴールを見つけたので、戦略を更新します」。
説明は短く、行動は具体的に。
この順序が、不要な摩擦を減らします。

ゴールは固定されたものではなく、あなたの視野の広がりに応じて成長するものです。
「これは本当に望むことか」「現状を超えているか」という問いを定期的に投げかけ、少しでも違和感があれば静かに更新する。
エフィカシーを保ちながら基準を見直す。
この積み重ねが、遠回りに見えて最短の道となります。
進むにつれて、次の道しるべは自然と明確になっていきます。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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