ゴールを設定し、そのゴールの世界をリアルに感じているあなたは、すでに「未来から現在を選ぶ」という生き方を始めています。
多くの人は「過去がこうだったから今の自分がある」と考えますが、あなたはそれだけでは人生を説明しません。
どんな未来を生きたいかを先に決め、その未来にふさわしい現在を築こうとしています。
だからこそ、一歩ずつ、しかし確実に望む人生に近づいているのです。
心も体も穏やかで、表情には明るさがあり、どこか生き生きとした印象があるでしょう。
これは偶然ではなく、あなたの中で「未来の自分」が非常に明確だからです。
人は、行き先がはっきりしているときのほうが安定します。
逆に、行き先がぼんやりしていると、同じ仕事や家事をしていても疲労感が増します。
あなたに起きているのは前者の状況です。
未来に向かうほど人生が良くなるのは、ゴールを持つ人が無意識に「そのゴールにふさわしい選択」を現在に持ち込むからです。
今日の自分は昨日の自分よりもゴールに近づくように行動するため、時間が進むほど状態が整っていきます。
過去より現在、現在より未来、という順番で豊かさが増していく。
このような時間の流れができると、「昔はよかった」という感覚よりも「明日の私は今日より良い」という感覚が強まります。
ここで重要なのは、「過去が今をつくる」という一方向の見方だけでなく、「未来が今を解釈し直す」という逆方向の見方もあると知っておくことです。
たとえば、同じ残業でも「この期間は将来の独立に向けた準備だ」と位置づけているときと、「やめたくてもやめられないから仕方なくやっている」と思っているときでは、同じ1時間でも意味がまったく違います。
未来を先に決めた人は、今起きている出来事を「その未来に至る途中の出来事」として扱えるので、疲れ方も落ち込み方も変わってきます。
「今の自分は理想の自分にかなり近い」と感じられるとき、エフィカシー、つまり「自分ならできる」と思える感覚が高まります。
すると、以前は「これは自分には無理だ」「まだ準備ができていない」と思っていたことに対しても、「とりあえずやってみよう」「このくらいなら今の私でもできる」と受け止め方が変わってきます。
行動を起こす前のハードルが下がるので、一つひとつが前に進むきっかけになります。
たとえば、あなたが「半年後には落ち着いてクライアントにコーチングを提供している自分」を想像しているとします。
すると今のあなたは、完璧な準備ができていなくても、10分だけ話し方の練習をしたり、ブログに自分の考えを書き残したり、仕事の合間にコーチングの動画を一本だけ見たりといった、小さな行動を選びやすくなります。
これは「できるようになったらやる」ではなく、「できる未来があるから今やる」という順番になっているからです。
ゴールを見据え続けると、あなたの中の「これが普通」「この程度が自分の限界」といった無意識の基準、いわゆるコンフォートゾーンが徐々に未来へとシフトしていきます。
昨日までのあなたは、夜にSNSを見てそのまま眠るのが当たり前だったかもしれません。
しかし、未来のあなたが「夜の15分は発音練習をしている」「明日のセッションの準備をしている」とリアルに感じられるようになると、同じようにSNSを見ていても「本当の自分はこうしていないはず」と違和感を覚えるようになります。
この違和感こそが、コンフォートゾーンが更新され始めたサインです。
興味深いのは、この更新が突然起こるのではなく、日々の中で少しずつ積み重なっていくことです。
昨日心地よかった状態が、今日になると物足りなく感じる。
今日心地よかったリズムが、一週間後には「もう少し整えたい」と思うようになる。
このようにして、心地よさの基準が、今いる場所から目標へと静かに移動していきます。
気づいたときには、「以前は努力しないとできなかったこと」が「やらないと落ち着かないこと」に変わっています。
ゴール側のコンフォートゾーンに完全に移行したあなたは、外から見ると非常に努力しているように見えても、本人にとっては「これが普通です」といった感覚で過ごしています。
朝起きて未来のことを考えるのも自然な習慣となり、食事や睡眠も乱れにくく、家族やクライアントとの関わりでも余計な力みがありません。
仕事でもコーチングでも、落ち着いて相手の話を聴けるので、成果も信頼も同時に高まっていきます。
このような状態のとき、あなたはたいてい自然な笑顔でいます。
笑顔が硬いときは、現状維持のために頑張っているサインであることが多いですが、未来を基準にして今を選べているときの笑顔は柔らかく、内に余裕があります。
周囲の人はその笑顔を見て安心し、「この人と一緒にやりたい」と感じます。
それがまた新たな出会いやチャンスを引き寄せ、さらに未来のリアリティを高めるという、良い循環が生まれていきます。
