人生を変えたいと感じたとき、最初に取り組むべきは「ゴール設定」です。
ただ日々を過ごしているだけでは、気づけば去年と同じような毎日を繰り返していることがよくあります。
だからこそ、「自分はどこに向かいたいのか」「どんな人生を送りたいのか」を自分の意志で決めることが重要です。
ここで言うゴールとは、単なる売上や資格取得といった「数値的な目標」だけではありません。
あなたが本当に望む生き方や、どんな世界でどんな自分として生きたいのかという、人生全体の方向性を指しています。
ゴールを設定すると、脳内で「認知的不協和」と呼ばれる状態が生じます。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、意味はシンプルです。「現在の自分」と「ゴールを達成した自分」の間にズレが生じ、そのズレを埋めようと行動したくなる心の働きです。
例えば、今は英語があまり話せないけれど、「3年後には海外のクライアントと英語で仕事をしている自分」をゴールにしたとします。
すると、「英語が苦手な今の自分」と「英語で自然に会話しながら仕事をしている未来の自分」との間に大きなギャップが生まれます。このギャップが認知的不協和です。
このズレがあるからこそ、通勤時間に英語の音声を聞いてみようと思ったり、オンライン英会話を調べたり、英語を使う職場に興味を持ち始めたりします。
つまり、ゴールを設定すること自体が、未来に向けて動き出すスイッチになっているのです。
ゴール設定は、単なる自己啓発のテクニックではありません。
それは、「自分の人生を自分で選ぶ」という行為そのものです。
多くの人は、無意識のうちに会社の評価や家族、周囲の期待、社会的な価値観に合わせて生きています。
「安定しているからこの仕事を続けたほうがいい」「この年齢ならこうあるべき」といった「~すべき」という基準に縛られ、自分の本当の望みよりも周りの基準を優先してしまうことも少なくありません。
しかし、本来あなたの人生は、あなた自身が決めるべきものです。
どこに住み、どんな人たちと関わり、どんな気持ちで毎日を過ごしたいのか。
それを決めるのは、周りではなく、あなた自身です。
ゴールを設定するということは、「自分の人生の舵を他人に任せず、自分の手に取り戻す」という宣言でもあります。
そのことに気づき、実際にゴールを考え始めている時点で、あなたはすでに大きな一歩を踏み出しています。
重要なのは、「今の延長線上で少し努力すれば達成できそうなゴール」に留まらないことです。
現状からはかなり高く感じられるゴールをあえて選ぶことが鍵となります。
現在の自分の能力や経験から見て「頑張れば届きそう」と思える範囲のゴールは、今の思考や行動パターンの延長で達成できることが多く、自分の枠組み自体は大きく変わりません。
しかし、達成方法が全くわからないようなゴールを設定すると、状況は変わります。
例えば、「自分のサービスで世界中の人を笑顔にする」といったゴールは、今の自分から見ると別世界に感じられるかもしれません。
それでも、そのような高いゴールを描くことで、これまでの延長にはない新しい発想や人とのつながり、環境との出会いが必要になります。
つまり、ゴール自体があなたの世界を広げる“きっかけ”として機能するのです。
ここで誤解しがちな点があります。
それは、「ゴールは達成方法が明確でなければならない」と考えてしまうことです。
実際にはその逆で、達成方法が不明なゴールが望ましいのです。
今の自分から見て、やり方が明確なゴールは、過去の経験や現状の延長にある可能性が高いからです。
「残業時間を少し減らしたい」「今の会社でワンランク上のポジションに就きたい」といったゴールは、工夫や努力で達成できるかもしれませんが、人生そのものを大きく変えるゴールとは限りません。
一方、「世界平和に向け、世界中にクライアントがいて、彼らがゴールを達成している」といったゴールは、今の自分からすると具体的な道筋が見えないことも多いでしょう。
それでも、そのゴールが本当にワクワクするものであれば、達成方法は後から少しずつ見えてきます。
出会う人が変わり、手に取る本が変わり、学びたいことが変わることで、以前なら思いつきもしなかった選択肢が見えてくることがあります。
だからこそ、最初の段階では「どうやって実現するか」よりも、「どんな世界に生きていたいのか」というゴールの方向性を大切にしてください。
ゴールに向かって動き始めると、自分の内面だけでなく、周囲の人との関係性も少しずつ変わっていきます。
例えば、以前は仕事の愚痴を言い合うことが当たり前だった同僚と、だんだん話が合わなくなることがあります。
一方で、「新しいことに挑戦したい」「もっと自分らしく生きたい」と考えている人と話すと、不思議と心が軽くなったり、前向きな気持ちになったりするかもしれません。
これは、人と人との関係が「お互いの前提」で成り立っているからです。
あなたの中のゴールが変わることで、何を大事に感じるか、どんな話題にワクワクするかが変化します。
その結果として、誰と一緒にいる時間が増えるか、どんな会話が中心になるかも変わっていきます。
人間関係の変化は時に不安を感じさせることがありますが、それはあなたが成長している証拠でもあります。
ゴールに向かう過程は、自分自身の在り方や周囲との関係を少しずつ更新していく旅なのです。
ゴールに向かって歩み始めると、ある時ふと振り返り、「以前の自分からは想像もつかないほど多くのことが変わった」と感じる瞬間が訪れます。
そして、その時に新たに見えてくるのが「次のゴール」です。
ゴール設定は一度きりの作業ではありません。
今の自分より少し先、さらにその先へと、何度も更新されていくものです。
一つのゴールに向かって行動する中で、視野が広がり、新しい価値観や仲間に出会い、「もっとこんな世界を目指したい」という感覚が生まれてきます。
こうしてゴールを更新し続けること自体が、あなたの成長の証です。
「ここまで来た自分だからこそ描ける、新しいゴール」が常に生まれてくる状態こそ、変化し続ける人生の醍醐味と言えるでしょう。
今、あなたは「ゴール設定」という非常に重要な一歩に目を向けています。
現状から見て高く感じられるゴールであっても、思い切って描いてみてください。
達成方法がわからなくても問題ありません。
そのゴールを選び、そこに意識を向け始めた瞬間から、すでにあなたの時間の流れは変わり始めています。
ゴールに向かって動き出すことで、人との関係や日々の選択、自分自身への見方が少しずつ変化していきます。
その先には、今のあなたにはまだ見えていない景色や、新しい出会い、想像していなかった可能性が待っています。
ここから、さらなるゴールへ向けて。
あなた自身の人生を、あなたの手で選び続けていきましょう。
