あなたが見ている世界は、過去の記憶がつくり出したもの

私たちが「現実」として認識している世界は、実際には人それぞれで大きく異なります。
同じ風景を見ても、異なる印象を持つことがあるのは、私たちの脳が過去の経験や記憶に基づいて「重要だと判断した情報だけ」を選び取っているからです。
例えば、子どもの頃に犬に噛まれた経験がある人は、大人になっても犬を見ると緊張や恐怖を感じることがあります。
しかし、幼少期から犬と親しく過ごしてきた人にとっては、同じ犬が「可愛い存在」として映るでしょう。

このように、同じ対象が異なる意味を持つことは、私たちがどれほど「過去の記憶」というフィルターを通して世界を見ているかを示しています。
つまり、現在の世界は、“過去の自分” が作り上げたフィルターによって形作られているのです。

多くの人は、自分の意志で生きていると思っていても、実際には過去の経験を基に「今」を判断しています。
子どもの頃に褒められた経験があると、その分野の活動を自然と選びやすくなりますし、逆に失敗や叱られた経験があれば、その領域を避けるようになります。
親や教師からの言葉、社会の常識として刷り込まれた価値観、無意識の思い込みなどが、現在の選択を静かに支配しています。

そのため、未来を考えるとき、過去を基準にした「これくらいならできそうだ」という発想が自然と浮かびます。
そしてその結果、未来の姿はどうしても“過去の延長線上に見える未来”になってしまうのです。
新しいことに挑戦したいと思っても、未知の世界は想像しづらく、「今の自分からそこへは行けない」と感じてしまう。
こうした思考の癖が、人生の選択肢を無意識のうちに狭めてしまいます。

さらに厄介なのは、自分の人生を自分で選んでいるつもりでも、実際には他人の価値観に影響されていることが多いという現実です。
親に勧められてその学校に進んだり、友人が受ける会社と同じ選考に申し込んだり、周囲が言う「安定した仕事」をなんとなく目指したりと、気づかないまま他人の意見や雰囲気に流されて選択をしている人は多いものです。

日本では特に「周りに迷惑をかけてはいけない」「みんなと同じであるほうが安心」「目立つと叩かれる」という文化的な背景もあり、幼いころから周囲の基準に合わせることが良いとされてきました。
そのため、自分の意志や願望よりも周囲の期待に応える行動を優先することが習慣化されてしまっています。

こうした状態が続くと、自分では気づかないうちに、人生の舵取りが他人に任されてしまうことになります。
本当は選びたい道があるのに選ばない。
本当はやってみたいことがあるのに諦める。
気づけば、他人の価値観で描かれた人生のレールの上を歩いている。
これは非常に怖いことです。

自分の人生を取り戻すためには、まず現在の世界が過去の記憶によって形作られていることをしっかりと理解することが重要です。
この認識が、自分の人生を再びコントロールするための出発点となります。

過去の記憶が今の世界を形成していると理解すれば、未来は過去に縛られる必要がないことに気づけます。
自分が望む未来は、自分の意志で自由に選択できるという感覚が芽生えます。
たとえ今は想像できない未来であっても、過去にとらわれる必要がないと分かるだけで、自然とその未来に向けて意識が向かうようになります。

「気づくこと」は一見小さな変化に思えるかもしれませんが、実際には非常に大きな意味を持ちます。
認識が変わることで、物事の見え方が変わり、選択肢が広がり、行動が変わります。
その瞬間から、未来は確実に動き出します。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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