「見ている方向」が人生を動かす──無意識を味方につけるゴール設定

あなたは今日、どこを見ていますか?

仕事のこと、家族のこと、将来への漠然とした不安。
それとも、「こうなりたい」という未来のビジョンでしょうか。

実は、この「見ている方向」が、あなたの人生を大きく左右しています。
今日は、その仕組みと、無意識を味方につけてゴールへ向かう方法についてお伝えします。

目次

人は「見ている方向」に自然と進んでいく

自転車に乗っていて、「あの電柱にぶつかりたくない」と思えば思うほど、なぜか電柱のほうへ寄っていった経験はありませんか。

歩いているときも同じです。
人混みで「あの人にぶつからないように」と注意するほど、その人の方向へ歩いてしまうことがあります。

これは意志の弱さではありません。
人間には、注意を向けたものへ自然と近づいていく性質があるのです。

つまり、あなたが心の中でどこを見ているかによって、日々の選択や行動が自然と方向づけられていきます。
「避けたいもの」ばかり見ていれば、皮肉にもそちらへ引っ張られやすくなります。
反対に、「向かいたい方向」を見ていれば、自然とそちらへ進みやすくなります。

だからこそ、意識を向ける先を「自分で決める」ことが大切なのです。

現状に引き戻される力──ホメオスタシスの正体

ただし、一つ知っておいてほしいことがあります。

私たちの心と身体には、「現状を維持しようとする力」が備わっています。
これは「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」と呼ばれ、体温や血圧を一定に保つなど、生きていくために欠かせない仕組みです。

しかし、人生の変化においては、この力が「元に戻そうとする抵抗」として働くことがあります。

たとえば、「今年こそ早起きを習慣にする」と決意して始めても、数日後にはいつもの起床時間に戻ってしまう。
ダイエットを決めたのに、忙しくなると元の食生活に戻っている。
新しいことを始めようとしても、なぜか気が重くなって先延ばしにしてしまう。

これらは意志が弱いからではありません。
無意識が「慣れた状態のほうが安全だ」と判断し、現状を守ろうとしているのです。

だからこそ、気合だけで押し切ろうとしても、なかなかうまくいきません。
大事なのは、この無意識の仕組みを理解し、「味方につける」ことです。

見ている方向が「ゴール」になる

ここで言う「見る方向」とは、あなたが心の中で思い描いている到達点──つまり「ゴール」のことです。

ゴールは、紙に書いた言葉だけでできているわけではありません。
実際には、頭の中に浮かぶ「映像」と結びついて、力を持ちます。

たとえば、「もっと自由に働きたい」と願うなら、その自由とはどんな場面でしょうか。

朝、焦らずにコーヒーを飲んでいる自分かもしれません。
仕事を選べる感覚の中で、やりがいのあるプロジェクトに取り組んでいる自分かもしれません。
家族との時間や自分の学びの時間が増えて、夕方に穏やかな気持ちで散歩している自分かもしれません。

こうしたワンシーンが、あなたの中で映像として立ち上がってくると、無意識はそこへ向かう情報を拾い始めます。

関連する記事が目に入ったり、必要なスキルが気になり始めたり、時間の使い方を変えたくなったりします。
つまり、行動が”努力”というより”自然な流れ”として整っていくのです。

映像に「感情」が乗ると、ゴールは動き出す

ゴールが本当に力を持つのは、映像に感情が伴ったときです。

嬉しい、誇らしい、安心する、ワクワクする。
そうした感情が乗ったゴールほど、現実の行動を強く引っ張ります。

反対に、義務感だけで作った目標は続きにくいことがあります。

「やらなきゃ」「こうあるべき」という言葉で自分を動かすと、一時的には頑張れても、無意識が味方になりにくいのです。
ホメオスタシスが「元に戻ろう」とする力のほうが勝ちやすくなります。

だからこそ、あなたが本当に望む方向を明確にして、そこに感情をつなげていくことが大切です。

すると同じ行動でも、「頑張る」より「進みたくなる」感覚が増えていきます。
これが、無意識を味方につけるということです。

無意識を味方につける三つのコツ

では、具体的にどうすればいいのでしょうか。
今日から使える三つのコツをお伝えします。

1. ゴールを「数字」ではなく「状態」で描く

年収や資格など、数字での設定は、そもそもゴールにはなりません。さらに、感情がつながりにくいことがあります。

「年収〇〇万円」ではなく、「そのお金で何をしているか」「どんな日常を送っているか」まで落とし込んでみてください。
たとえば、「自分のペースで働きながら、週末は家族とゆっくり過ごしている」といった具合です。

数字の先にある”生活”を描くことで、臨場感が一気に上がります。

2. 「達成した自分のワンシーン」を想像する

未来を願うよりも、「すでに達成している自分の一場面」を想像するほうが効果的です。

大きなストーリーを描く必要はありません。
「仕事を終えて夕方の街を歩いていて、心が軽い」
「自分のペースで予定を組めていて、余白がある」
そんな短いワンシーンで十分です。

この映像があなたの無意識に”方向”を与えます。

3. 毎日、ほんの少しだけゴールに触れる

ゴールは、一度設定したら終わりではありません。
毎日ほんの少し触れることで、意識の向きが固定されていきます。

朝の1分でも、寝る前の1分でもかまいません。
ゴールのワンシーンを思い出す。
その未来にいる自分の気持ちを味わう。

派手な決意より、静かな継続が効いてきます。
この小さな習慣が、無意識を徐々にゴール側へと調整していくのです。

あなたの人生は「どこを見るか」で変わっていく

あなたの大切な人生は、ゴール設定次第で大きく変わります。

そしてゴールとは、遠い理想を叫ぶことではありません。
「自分が見つめる方向を、自分で決めること」です。

無意識は敵ではありません。
仕組みを理解して味方につければ、現実は少しずつ、しかし確実に動き始めます。

今日、ほんの少しだけ自分に問いかけてみてください。

「私は、どちらへ進みたい?」
「その未来で、私はどんな毎日を過ごしている?」

その答えが浮かんだとき、あなたの意識はすでにゴールを向いています。
そして、意識が向いた方向へ、あなたは自然と歩み始めているのです。

今日から、ほんの少しずつ。
あなたの未来への一歩を、静かに、しかし確かに踏み出してみてください。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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