「やりたいことは決まっているのに、なぜか動けない」
もしあなたがそう感じているなら、それは意志が弱いからではありません。
実は、あなたの無意識が”まだその未来を信じていない”だけかもしれないのです。
今日は、ゴール設定の裏側で働いている「無意識の仕組み」と、それを味方につける方法についてお伝えします。
無意識は、毎日何万回も「選択」をしている
私たちは、一日の中で驚くほど多くの選択をしています。
何に目を向けるか。どの情報を拾うか。どんな言葉を自分にかけるか。
ただし、そのほとんどは意識に上ってきません。
自動的に、無意識のうちに処理されているのです。
たとえば、朝の通勤時間に見かける広告。
普段は素通りしているものが、「引っ越しを考えよう」と思った途端、不動産の情報ばかり目に入るようになる。
これは広告が増えたのではなく、あなたの無意識が「必要な情報」として拾い始めたからです。
ゴールを決めると、この無意識のフィルターが変わり始めます。
つまり、ゴールを設定した瞬間から、あなたはすでに変化を始めているのです。
「ブリーフ(信念)」が現実の見え方を決めている
この無意識の働きを理解するカギが、「ブリーフ(信念)システム」です。
ブリーフとは、「私はこういう人間だ」「世界はこういうものだ」という、心の奥にある前提のことです。
私たちは、この前提を通して目の前の出来事を解釈しています。
たとえば、上司から「もう少し工夫できそうだね」と言われたとき。
「自分は評価されない」というブリーフを持っている人は、これを”否定”として受け取りやすい。
「自分は成長できる」というブリーフを持っている人は、同じ言葉を”改善のヒント”として受け取りやすい。
状況は同じなのに、心の前提が違うだけで、見える景色がまるで変わってしまう。
そして、見える景色が変われば、次の行動も変わります。
だからこそ、自分がどんなブリーフを持っているのかに気づくことは、とても大切なのです。
ゴールを決めても動けないのは「臨場感」の問題
「資格を取りたい」と決めたのに、なぜか机に向かえない。
「転職して理想の働き方をしたい」のに、情報収集だけで止まってしまう。
こんな経験はありませんか。
これは意志が弱いからではありません。
無意識がまだ”その未来を自分の現実だ”と感じられていない──つまり、ゴール側の「臨場感」が足りないのです。
臨場感とは、「その場にいる感覚」のこと。
今の現実のほうがリアルに感じられているうちは、未来へ向かう力が湧きにくいのです。
反対に、ゴールの姿をありありと描けるようになると、無意識はその未来を”本当の自分”として受け入れ始めます。
すると、「頑張って動く」のではなく、「自然と動きたくなる」感覚が生まれてきます。
無意識を味方につけるカギは「セルフトーク」
では、どうすれば無意識を味方につけられるのでしょうか。
もっとも身近で効果的な方法が、「セルフトーク」を整えることです。
セルフトークとは、頭の中で自分にかけている言葉のこと。
私たちは一日の中で、何千回、何万回と自分自身に話しかけています。
「どうせ自分には無理だ」
「また失敗するかもしれない」
「時間がないからできない」
こうした言葉は、気合いで止めようとしても止まりません。
なぜなら、セルフトークはブリーフから自然に湧き出てくるものだからです。
ただし、逆も言えます。
セルフトークを意図的に選び直すことで、ブリーフそのものを少しずつ変えていくことができるのです。
セルフトークを「未来寄り」に変えてみる
ポイントは、無理にポジティブな言葉を作ることではありません。
今の自分が受け入れやすい形で、未来側の前提を少しずつ増やしていくことです。
たとえば、こんなセルフトークを試してみてください。
動けないと感じたとき
「今日は完璧じゃなくていい。5分だけやれば十分前進だ」
自信がないとき
「私は学び続ける人だ。未来の自分に小さく投資しよう」
不安を感じたとき
「不安があるのは本気の証拠。だから一歩だけ動いてみる」
準備が足りないと思ったとき
「今は準備の途中。できている部分もちゃんとある」
大げさに変える必要はありません。
ほんの少し言葉を変えるだけで、無意識がその前提を採用し始めます。
この小さな積み重ねが、迷いを減らし、行動を自然に続けさせ、気づけばゴールへ向かう流れをつくっていくのです。
今日からできる小さな一歩
大きなゴールほど、最初から完璧に臨場感を持つのは難しいものです。
だからまずは、できるだけ小さく、具体的に未来の自分を言葉にしてみてください。
たとえば「理想の働き方をしたい」という抽象的なゴールなら、
「朝の時間に学習し、週に1回はアウトプットしている自分」
といった形で、行動がイメージできるレベルに落とし込むと、無意識が受け取りやすくなります。
今日、寝る前に一つだけ問いかけてみてください。
「ゴールを達成した未来の私は、どんな一日を過ごしている?」
その場面がぼんやりとでも浮かんだなら、あなたの無意識はすでにその方向へ動き始めています。
ゴールは「頑張るもの」から「自然と向かうもの」へ
ゴールは、意識だけで追いかけるものではありません。
セルフトークを整え、無意識を味方につけたとき、ゴールは”頑張って近づくもの”から、”自然と向かっていくもの”へと変わっていきます。
今日から、ほんの少しだけ自分にかける言葉を選んでみてください。
その小さな言葉の積み重ねが、やがてあなたを望む未来へと運んでくれるはずです。
あなたの無意識は、すでにゴールに向かって動き出しています。
あとは、その動きを信じて、一歩ずつ歩いていくだけです。
