「なぜか自信が持てない」「やればできるはずなのに動けない」
もしあなたがそう感じているなら、その原因は能力不足ではないかもしれません。
あなたの頭の中で、知らないうちに流れている「言葉」が、行動にブレーキをかけている可能性があるのです。
今日は、セルフトーク(頭の中のつぶやき)を整えることで、人生の「当たり前」がどう変わるのかをお伝えします。
私たちは一日中、自分に話しかけている
一般に、人は1日に数万回ほどセルフトークをしていると言われます(研究や定義によって幅はあります)。
回数がどうであれ、ポイントはシンプルです。
私たちは、それだけ頻繁に「自分に言葉をかけ続けている」ということです。
たとえば、仕事でミスをしたとき。
「やっぱり自分はダメだ」と頭の中でつぶやくか、「次は気をつけよう」とつぶやくか。
その瞬間は小さな違いに見えても、積み重なると、自己イメージに大きな差を生みます。
セルフトークを繰り返すたびに、セルフイメージ(自分はこういう人間だ、という自己像)が少しずつ形づくられていきます。
そしてセルフイメージが固まると、今度はコンフォートゾーン(無意識に”ここまでなら普通”と思える範囲)が決まっていく。
つまり、セルフトークは「自分の限界」を決める材料にもなり得るのです。
言語空間のハンドルを握る
ゴールを達成したいとき、私たちは物理的に動くだけではなく、常に”言語空間”でも生きています。
「どうせ無理」
「まだ早い」
「失敗したら恥ずかしい」
こうした言葉が内側で流れると、行動が止まるのは自然な反応です。
身体は動こうとしても、心のブレーキが先に作動してしまうからです。
だからこそ、言語空間の運転席に座ること——つまりセルフトークを意識して扱えるようになることが、ゴール達成において必須になっていきます。
車を運転するとき、ハンドルを握らずに目的地へ着くことはできませんよね。
言語空間も同じです。
自分の内側で流れる言葉のハンドルを、自分で握る必要があるのです。
ネガティブに気づけた時点で、すでに前進している
セルフトークをチェックしてみると、ネガティブなものが多くて落ち込む…という方もいるかもしれません。
でも、その気づき自体が大きな前進です。
なぜなら、無意識だったものが意識に上がった瞬間から、選び直しができるようになるからです。
気づかないうちに流れていた言葉に「あ、今こう言った」と気づけること。
それだけで、変化の入り口に立っています。
そして実は、あなたの中にはすでにポジティブなセルフトークも存在しているはずです。
「よし、やった」
「いいぞ」
「なんだ、できるね」
もし思い当たるものがあるなら、そこを”強化ポイント”として記憶しておきましょう。
記憶は「言葉+感情」で残る
私たちは何かを記憶するとき、言葉だけでなく、そのときの感情や体感もセットで保存します。
たとえば、旅行の思い出を振り返るとき。
「〇〇に行った」という事実だけでなく、そのときの高揚感や開放感、風の匂いまで一緒に思い出すことがありますよね。
セルフトークも同じです。
だから、ポジティブなセルフトークを「ただ言う」だけで終わらせず、うまくいった瞬間の感覚まで一緒に覚えるのが効果的です。
次のように、体感込みで”回収”してみてください。
仕事で小さなタスクを終えたとき
心の中で「よし、やった」と言いながら、胸が少し軽くなる感じを味わう。
家族との会話がうまくいったとき
「いいぞ」と言いながら、ほっとする感覚を数秒だけしっかり感じる。
運動を続けられた日
「なんだできるね」と言いながら、身体の温かさや達成感を丁寧に受け取る。
こうして「ポジティブな言葉」と「ポジティブな体感」をセットで積み重ねていくと、内側の世界が少しずつ”ポジティブに包まれた状態”へ移行していきます。
今日から始められる三つの実践
セルフトークを整えるために、今日から始められる実践をご紹介します。
1. 一日の終わりに「良かったこと」を三つ思い出す
寝る前に、今日うまくいったこと、嬉しかったことを三つだけ思い出してください。
大きなことでなくて構いません。
「電車に間に合った」「美味しいコーヒーを飲めた」「仕事を一つ終えられた」
そのとき感じた小さな満足感も一緒に味わうと、ポジティブな記憶として残りやすくなります。
2. ネガティブな言葉に気づいたら、一呼吸おく
「また失敗した」「自分はダメだ」と頭の中で言っている自分に気づいたら、まず一呼吸おいてください。
そして、「今、そう言ったな」と認識するだけで十分です。
無理にポジティブに言い換えなくてもいい。気づくこと自体が、ハンドルを握り始めた証拠です。
3. うまくいったときの言葉を「お気に入り」として持っておく
自分が自然に使っているポジティブなセルフトークを見つけたら、それを「お気に入りフレーズ」として覚えておきましょう。
「よし」「いける」「大丈夫」など、あなたにしっくりくる言葉があるはずです。
それを意識的に使うことで、ポジティブなセルフトークの頻度が自然と上がっていきます。
セルフトークが変わると、「当たり前」が変わる
セルフトークは、あなたの中で毎日何万回も繰り返されています。
その積み重ねが、セルフイメージをつくり、コンフォートゾーンを決め、行動の範囲を形づくっています。
だからこそ、セルフトークを整えることは、人生の「当たり前」を変えることにつながります。
最初から完璧にコントロールする必要はありません。
まずは、自分が自分に何を言っているかに気づくことから始めてください。
気づけた時点で、あなたはすでに変わり始めています。
体感を伴ったあなたの「記憶」は、あなた自身の財産になります。
頭で理解しただけで終わらせず、日常の小さな場面で実際にやってみる。
やらないのは、正直もったいないのです。
今日から、ほんの少しだけ。
自分にかける言葉を、意識してみてください。
その小さな積み重ねが、あなたの未来を静かに、しかし確実に変えていきます。
