「最近、周りの人のネガティブな言葉が気になってしまう」
「誰かのため息や愚痴を聞くと、なんだか自分まで重くなる」
もしあなたがそう感じているなら、それは悪いことではありません。
実は、あなた自身のセルフトーク(心の中の独り言)が整い始めている証拠なのです。
今日は、なぜ他人の言葉が気になるようになるのか、そしてそんなときにどう対処すればいいのかをお伝えします。
私たちはみんな「言語空間」の中で生きている
ここで一つ、思い出してほしい前提があります。
私たちは、目に見える現実だけで生きているわけではありません。
たとえば会社には「報連相」「期限」「評価」などの言葉でできたルールがあります。
家庭には「ちゃんとする」「迷惑をかけない」などの暗黙の言葉があります。
SNSには「いいね」「炎上」「バズる」などの空気をつくる言葉があります。
こうした”言葉で構築された世界”の中で、私たちは日々判断し、選択し、行動しています。
つまり誰もが、意識する・しないに関わらず「言語空間」に生きているのです。
そして、その言語空間の中心にあるのが、瞬間ごとに流れているセルフトークです。
セルフトークを放置すると、ネガティブに引っ張られる
セルフトークは、放っておくと勝手に流れ続けます。
しかも多くの場合、過去の失敗や不安と結びつきやすい。
たとえば、こんな言葉が浮かんだことはありませんか。
「しまった」
「また、やってしまった」
「あのとき、ああしておけばよかった」
このようなネガティブなセルフトークは、ただの独り言では終わりません。
言葉にした瞬間、脳と身体は”その場面をもう一度生きる”ように反応します。
思い出したくない失敗を頭の中で再生し、同じ感情をもう一度味わう。
結果として、「自分はうまくできない」という感覚が強化されていきます。
だからこそ、セルフトークは意図して選び直すことが大切なのです。
セルフトークを整えると、ゴールに近づきやすくなる
ポジティブなセルフトークとは、単にテンションを上げる言葉ではありません。
ポイントは「未来に向かう」「行動が生まれる」言葉になっていることです。
たとえば、同じ出来事でも言い方を変えるだけで次が変わります。
失敗した直後に――
「しまった」ではなく「よし、気づけた」
「またやった」ではなく「次はこうすればいい」
「終わった…」ではなく「ここから立て直せる」
この切り替えを続けると、気分だけでなく、考え方・選択・行動そのものが変わっていきます。
「次はこうしよう」という言葉を自分にかけた瞬間、脳は反省ではなく改善にエネルギーを向け始めます。
他人のネガティブなセルフトークが気になったときの対処法
さて、ここからが本題です。
あなたがセルフトークを整え始めると、他人のネガティブな言葉が気になってきます。
たとえば職場で、誰かがこう言う場面です。
「どうせ無理ですよ」
「私なんて向いてない」
「また怒られるに決まってる」
このとき、正論で説得したり、無理に励ましたりする必要はありません。
むしろ相手の中の”ネガティブな独り言の流れ”を、そっと切り替える一言が有効です。
おすすめは、このフレーズです。
「らしくないですね」
これは否定でも批判でもなく、「本来のあなたはそんなものじゃない」という前提を渡す言葉です。
言い方を柔らかくしたい場合は、こんなアレンジも使えます。
「今の、ちょっと○○さんらしくないかも」
「それ、いつもの調子じゃないですね」
「一回深呼吸して、らしさ戻しましょう」
相手を変えようとするのではなく、相手が”戻れる場所”を示す。
その距離感が、ちょうどいいのです。
今日からできる三つの実践
最後に、今日から始められる具体的な方法をお伝えします。
1. ミスしたときに「よし、次はこうしよう」と声に出す
何か失敗したとき、落ち込む前に心の中でこう言ってみてください。
「よし。次はこうしよう」
ポイントは「よし」で一度区切り、「次は」で未来へ意識を向けること。
これだけで、脳は反省モードから改善モードに切り替わります。
2. 一日の終わりに「うまくいったこと」を一つ思い出す
夜、寝る前に1分だけ静かにして、今日「うまくいった瞬間」を一つ思い出してみてください。
小さなことで構いません。そのとき自分がどう感じたかも一緒に振り返ると、ポジティブなセルフトークが強化されます。
3. 他人のネガティブな言葉に「らしくないですね」と返してみる
誰かがネガティブなことを言ったとき、否定も励ましもせず、「らしくないですね」と軽く返してみてください。
相手の中にある「本来の自分」を思い出させるきっかけになります。
あなたのセルフトークは、静かな積み重ねで変わる
セルフトークは、派手な決意や劇的な変化から整うものではありません。
静かに自分に戻り、言葉を選び直し、小さな切り替えを繰り返す。
その地道な積み重ねが、やがて揺るぎない習慣をつくっていきます。
今日から、ほんの少しだけ。
まずは30秒、深呼吸をして、自分のセルフトークに耳を傾けてみてください。
他人の言葉が気になるようになったのは、あなたが成長している証拠です。
その感覚を大切にしながら、自分のセルフトークを味方につけていってください。
あなたには、自分の言葉で自分を導いていける力が、すでにあるのです。
