「同じ会議に出ていたのに、相手と話が噛み合わない」
「自分の意図が伝わらず、何度も説明し直すことがある」
「当たり前だと思っていたことが、相手には通じていなかった」
もしあなたがそう感じているなら、それはコミュニケーション能力の問題ではありません。
実は、お互いが見ている「世界」がそもそも違うだけかもしれないのです。
今日は、この「リアリティの違い」を理解することで、人間関係がラクになる視点についてお伝えします。
一人ひとりの「リアリティ」は、認識でできている
私たちは同じ場所にいて、同じ景色を眺めていることがあります。
たとえば同じ会議に参加して、同じ資料を見て、同じ説明を聞いたとしても——
- 「ここが大事だ」と思うポイント
- 「気になる」と感じる違和感
- 「面白い」と感じる部分
- 「危ない」と感じる不安
こうした反応は、人によってバラバラです。
なぜなら、一人ひとりのリアリティ(現実感)は、その人が”認識している状態”そのものだからです。
リアリティが違うのは、能力や性格の問題ではなく、そもそも”見えているもの”が違う、ということです。
人は「重要だと判断したもの」しか認識できない
人は、目の前にある情報すべてを平等に見ているわけではありません。
実際には、自分が重要だと判断したものだけを拾って認識します。
たとえば、こんな経験はないでしょうか。
- 同じ街を歩いているのに、友人は「新しいカフェ」を見つけ、あなたは「駐車場の空き」を探している
- 子育て中の人は「段差」や「危ない場所」に目がいき、別の人はまったく気づかない
- 転職を考えている人は「求人広告」ばかり目に入るのに、興味がない人は通り過ぎる
世界が変わったのではなく、自分の”重要判定”が変わっただけです。
判断基準は「コンフォートゾーン」に影響される
では、その「重要だ」という判断は、何によって決まるのでしょうか。
大きな基準の一つが、コンフォートゾーン(慣れた安心領域)に合致しているかです。
コンフォートゾーンとは、「慣れている」「安心できる」「いつもの自分でいられる」範囲のこと。
人は無意識に、この範囲に合うものを”正しい・大事”と感じやすく、合わないものを”違和感・危険”と感じやすい傾向があります。
たとえば、同じフィードバックを受けたとしても、
- 変化が好きな人は「チャンスだ」と捉え
- 安定が大事な人は「否定された」と感じる
というように、反応が分かれることがあります。
どちらが正しい・間違いではなく、判定の土台(コンフォートゾーン)が違うだけです。
意識だけでなく、無意識も判断している
もう一つ大事な留意点があります。
私たちは「自分はこう考えた」と、意識的な判断だけを自覚しがちです。
しかし実際には、
- なんとなく気になる
- なぜか引っかかる
- 理由はないけど安心する
- 直感的にイヤだ
こうした反応も含めて、無意識が先に判断していることが多いのです。
だからこそ、相手の反応が理解できないときに、
「なんで分からないの?」ではなく、
「そもそも見えている前提が違うのかも」と考えられると、会話が柔らかくなります。
違っていていい。違いは強みになる
違っていて良いんです。
むしろ、違いがあるのが当たり前です。
「違う=否定」ではありません。
「違う=別の視点がある」ということです。
たとえばチームや家族の中で、違いは摩擦にもなりますが、同時に強みになります。
- 細部に気づく人がいるからミスが減る
- 大局を見る人がいるから方向性が定まる
- 感情に敏感な人がいるから空気が整う
- 行動が早い人がいるから物事が進む
違いは、欠点ではなく役割の違い。
そう捉え直せると、人間関係は”戦い”から”協力”へ変わっていきます。
あなたの「見ている世界」は、問いかけで広がる
今日から、ほんの少しだけ。
相手と意見が違ったとき、自分に問いかけてみてください。
「相手は、どこが一番大事だと思ったのだろう?」
「相手は、何を見てそう感じたのだろう?」
答えは一つでなくて構いません。最初は曖昧でも構いません。
大切なのは、「自分とは違う世界を見ている人がいる」と認めることです。
理解できると、納得できなくても尊重はできます。
そして尊重があると、関係は壊れにくくなります。
一人ひとりが中心。違って当たり前。
あなたには、その違いを楽しみながら、人と関わっていける力が、すでにあるのです。
