目の前にあるのに見えない──脳が「選んで隠す」情報の正体

「転職を考え始めた途端に、求人情報ばかりが目に飛び込んでくるようになった」
「子どもが生まれたら、街中にベビーカーがこんなに多いことに初めて気づいた」
「ずっと探していた答えが、実はすぐそばにあったと後から分かった」

こうした経験に心当たりはありませんか?
実はこれらはすべて、あなたの脳が「見せるもの」と「隠すもの」を選んでいることの証拠なのです。

今日は、私たちの脳がどのように情報を選別しているのか、そしてその仕組みを理解することで「見える世界」がどう変わるのかについてお伝えします。

目次

同じ街を歩いているのに、見えるものが違う人がいる

同じ商店街を歩いていても、ある人はカフェの新メニューに気づき、別の人は不動産屋の物件情報に目が止まり、また別の人は道端の花に心を動かされます。

同じ場所、同じ時間、同じ風景。
それなのに、見えているものがまったく違う

これは不思議なことのように思えますが、脳の仕組みから見ると、ごく自然なことです。

私たちの五感には、毎秒膨大な量の情報が流れ込んでいます。
しかし、そのすべてを処理していたら、脳はあっという間にパンクしてしまいます。

だから脳は、自分にとって「重要」だと判断した情報だけを意識に上げ、それ以外を自動的にカットしているのです。

つまり、あなたが「見ている世界」は、現実のすべてではありません。
脳が選んだ、ごく一部の情報だけで構成された世界なのです。

脳は「すべて」を見ているわけではない──スコトーマという死角

この、脳が自動的に隠してしまう情報の領域を、スコトーマと呼びます。

スコトーマはもともと眼科の用語で、「盲点」を意味します。
目の構造上、どうしても見えない部分がある。
それと同じように、心理的にも見えているはずなのに認識できない領域が存在するのです。

たとえば、こんな経験はないでしょうか。

  • 何度も通っている道に新しい店ができていたのに、まったく気づかなかった
  • 会議で重要な発言があったのに、後から議事録を見て初めて気づいた
  • 大事なメールを見逃していて、後から「確かに受信していた」と分かった

これらはすべて、スコトーマの作用です。
情報自体はそこにある。目にも入っている。
しかし脳が「重要ではない」と判断したため、意識に上がらなかったのです。

スコトーマの厄介なところは、自分では「見えていない」ことに気づけないという点です。
見えていないものは、存在しないのと同じ。
だからこそ、「自分にはスコトーマがある」と知ること自体が、大きな第一歩なのです。

何が見えて何が見えないかを決めているのは、RASという門番

では、脳は何を基準に「重要」と「重要でない」を振り分けているのでしょうか。

その役割を担っているのが、RAS(Reticular Activating System/網様体賦活系)です。

RASは、脳幹にある神経のネットワークで、五感から入ってくる膨大な情報の中から「何を意識に上げるか」をフィルタリングする門番のような役割を果たしています。

RASのフィルタリング基準は、「自分にとって重要かどうか」です。

そして、「何が重要か」は、あなたの過去の経験、信念、価値観、そして現在のゴールによって決まります。

たとえば、新しい車を買おうと決めた人には、街中で同じ車種が急に目につくようになります。
車が増えたわけではありません。RASが「この情報は重要だ」と判断し、意識に上げるようになっただけです。

逆に、関心のないことは目の前にあっても素通りします。
RASが「重要ではない」と判断し、スコトーマに入れてしまうからです。

つまり、あなたが何を「重要」と設定するかによって、RASのフィルターが変わり、見える世界そのものが変わるのです。

ゴールを持つ人だけに、チャンスが「見え始める」理由

ここで重要なポイントがあります。

RASのフィルター基準を変える最も強力な方法──それが、ゴール設定です。

ゴールを設定すると、脳はそのゴールに関連する情報を「重要」と判断し始めます。
すると、RASのフィルターが切り替わり、これまでスコトーマに隠れていた情報が、次々と意識に上がってくるようになります。

「独立して自分のビジネスを持ちたい」というゴールを設定した人が、急にビジネス書の広告や起業家のインタビュー記事が目に飛び込んでくるようになる。

「健康的な生活を送りたい」というゴールを設定した人が、今まで素通りしていたジムの看板やヘルシーメニューに気づくようになる。

これは偶然ではありません。
ゴールによってRASが再設定され、脳が新しい基準で情報を選び始めた結果なのです。

逆に言えば、ゴールを持たない状態では、RASは過去の基準で情報を選び続けます。
見える世界は変わらず、同じ日常が繰り返される。

チャンスが「ない」のではなく、チャンスが「見えていない」だけ。
ゴールを持つことで、それまで隠れていたチャンスがようやく視界に入ってくるのです。

見えない世界を見えるようにする、たった一つの方法

スコトーマを外し、見える世界を広げるために必要なことは、実はとてもシンプルです。

ゴールを設定すること。

それも、現状の延長線上にある「ちょっとした改善」ではなく、心から望む、現状の外側にあるゴールです。

現状の延長線上のゴールでは、RASのフィルターはほとんど変わりません。
脳は「いつもの延長」と判断し、新しい情報を探す必要がないからです。

しかし、現状の外側にゴールを置くと、脳は「今の基準では足りない」と認識します。
すると、RASは新しい情報を探し始め、これまでスコトーマに隠されていたものが次々と見え始めます。

方法が分からなくても、構いません。
方法は、ゴールを設定した後にRASが見つけてくれるものだからです。

まずは、現状の外側に「心から望むゴール」を一つ置いてみてください。
それだけで、脳のフィルターは静かに切り替わり始めます。


冒頭でお伝えした、転職を考え始めた途端に求人情報が目に飛び込んでくる体験。
あれは偶然ではなく、あなたの脳が正しく機能した結果です。

あのとき起きたことを、人生全体に応用できるとしたらどうでしょうか。

ゴールを設定するだけで、脳は自動的に必要な情報を集め始めます。
見える世界は広がり、昨日までは存在しなかったはずの選択肢が現れます。

あなたの脳には、見える世界を広げる力がすでに備わっています。
あとは、どんな世界を見たいかを決めるだけです。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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