人と比べて落ち込んでいませんか?

ふとした瞬間に、こんなことを考えてしまうことはありませんか?

「あの人はあんなに成果を上げているのに、自分はどうだろう…」
「同じ年齢なのに、あの人はもう独立している。私は一体何をしているんだろう…」

頭の中で無意識に「比較リスト」を作り、自分を小さく見積もってしまうことがあります。これはまさに、自分のエフィカシー(自分のゴールに対する達成能力の自己評価)を自ら低下させている状態です。

人と自分を比べてしまう場面は、日常の至るところに潜んでいます。

例えば、職場で同僚が先に昇進したと聞いたとき、心がざわついて落ち着かなくなることがあります。
会議で誰かの意見が称賛されると、「自分の発言なんて大したことない」と感じてしまうこともあるでしょう。
仕事に限らず、SNSを開けば、知り合いが輝かしい日常や充実した毎日を投稿しているのが目に入ります。
そのたびに「自分の生活は地味だな」とため息をつきたくなることもあるかもしれません。

相手はただ、自分の道を歩んでいるだけです。
それにもかかわらず、心の中ではいつの間にか「勝ち負け」や「上下」といった基準を当ててしまいます。
そしてその基準は、ほとんどの場合、自分に厳しくなるように設定されています。

この状態が続くと、「自分はたいしたことがない」「あの人のようにはなれない」といったセルフトークが増え、エフィカシーがじわじわと下がっていきます。

比べている対象は、必ずしも「他人」だけではありません。
心のどこかで、理想の自分や「もしあのときこうしていたら」という別の自分と、今の自分を比べてしまうこともあります。

「あのとき、もっと挑戦していれば、今は別のキャリアを歩んでいたはずだ」
「若いうちから勉強を続けていたら、今ごろはもっと評価されていたはずなのに」

こうした思考の中に登場するのは、現実には存在しない「妄想の自分」です。
完璧で、失敗をせず、良い選択だけをしてきた“もしもの自分”と比べるほど、今の自分は見劣りして見えてしまいます。

例えば、「英語をちゃんと続けていれば、今は海外で働いていたはずだ」と想像して落ち込んだり、「あのとき起業していたら、今ごろ経営者として成功していたはずだ」と考えて自分を責めてしまうことがあります。
しかし、そのシナリオは頭の中で作り上げた物語であって、現実には確かめようがありません。

存在しない誰かと戦い続ける限り、今の自分はいつも負け役になってしまいます。
これでは、エフィカシーが下がるのも無理はありません。

ここで一度立ち止まり、思い出してほしいことがあります。

あなたは、Only ONE(唯一無二)の存在です。

あなたとまったく同じ人生を歩んできた人は、世界中どこにもいません。
同じ家庭に育ち、同じ学校に通い、同じ職場で働いていたとしても、出会った人々やその時々の感情、選んできた細かな選択はすべて異なります。
あなたが感じてきた喜びや悔しさ、達成感や挫折感、その一つひとつが、あなただけの物語を紡いでいます。

そんなOnly ONEのあなたを、他人と比較する「表」に押し込める必要はありません。
誰かと同じである必要も、理想の自分にぴったり合う必要もないのです。

違いがあるのは当然であり、その違いこそが価値です。
「あの人のようにならなければ」と焦るのではなく、「今の自分だからこそできることは何だろう」と静かに問いかけてみてください。
その問いかけは、他人の人生ではなく、自分自身の未来に目を向けるきっかけになります。

とはいえ、「比較をやめよう」と決めたからといって、すぐに止められるわけではありません。
これまでの習慣で、つい比べてしまうこともあるでしょう。
そんなときは、思考をいきなり変えようとするのではなく、まず体の状態を整えてみるのがおすすめです。

まず、ゆっくり息を吐きながら、自分の体に意識を向けます。
肩がこわばっていないか、眉間に力が入っていないか、胸が苦しくなっていないかを順番に感じていきます。
無理に深呼吸をしようとしなくても大丈夫です。
「ふーっ」と息を吐いたとき、少しだけ肩が落ちた感覚があれば、それで十分です。

次に、お気に入りの音楽をそっと流してみてください。
学生時代によく聴いていた曲や、なぜか涙が出そうになる思い出の一曲、聴くとほっとするメロディなど、どんな曲でもかまいません。
「こういうときは、この曲を聴く」と決めておくと、その曲が自分にとってのお守りのような存在になります。

人と比べて気持ちがざわついたとき、その曲を流しながら、「あ、また比べていたな。いったんリセットしよう」と心のモードを切り替えてみてください。
思考を無理に止めるのではなく、音楽の力を借りて、自然に切り替えるイメージです。

そして最後に、「比べてしまう自分」にやさしく声をかけてみます。
「比べたくなるくらい、本当は頑張りたいと思っているんだな」「それだけ、ちゃんと生きたいと思っているんだな」というように、比べてしまう自分を責めるのではなく、その奥にある“本気の気持ち”を汲み取ってあげる感覚です。

これは、セルフトークを整える練習でもあります。
日々少しずつ続けていくことで、「どうせ自分は…」という言葉から、「次はこうしてみよう」という前向きな言葉へと、少しずつ変えていくことができます。

人と自分を比較したり、理想の自分と比べたりすることは、ある意味で自然な心の動きです。
だからこそ、「あ、また比べているな」と気づいたとき、それは後退ではなく、むしろ大きな進歩です。
気づくということは、比較している自分と、それを観察しているもう一人の自分がいるということだからです。

そこからは、少しずつ方向を変えていけば大丈夫です。
体の力を抜き、お気に入りの音楽を聴きながら、Only ONEの自分に意識を戻していく。
そんな小さなリセットを、今日から何度でも繰り返すことができます。

あなたの人生は、誰かの模倣ではありません。
比較の基準を手放し、自分自身の未来に焦点を当てるほど、見える景色は変わっていきます。
最初はわずかな変化かもしれませんが、その積み重ねがやがて大きな違いを生み出します。

あなただけの未来へ。
そこに向かう歩幅も、歩き方も、スピードも、すべてあなたの自由です。
どうか、自分だけのペースで、一歩ずつ進んでください。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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