残りの人生時間をどう使うか?──「唯一の有限なもの」と向き合う

私たちの人生の中で、確実に「有限」と言えるものが一つだけ存在します。

それは「時間」です。

お金や仕事、住む場所、人間関係は、状況に応じて変化し、増減させることができます。
しかし、あなたの人生の時間だけは、誰も増やすことはできません。
今日という日も、今この瞬間も、同じ形で戻ることはありません。

だからこそ、今一度自分に問いかけてみてください。

「これからの人生で、残された時間をどのように使いたいのか?」

この問いに即答できる人は意外と少ないものです。
なんとなく忙しく、なんとなく一日が過ぎてしまうと感じている人も多いでしょう。

ここ1週間の自分の一日を振り返ってみてください。
朝起きてから寝るまでの間、仕事をしている時間、家事をしている時間、家族や友人と話している時間、スマホを見ている時間、移動中にぼんやりしている時間……。
それらすべてが、あなたの「人生時間」の使い方です。

本当は家族との時間を大切にしたいのに、気づけばSNSやニュースアプリに多くの時間を費やしている。
いつか学び直したいと思いながら、「今は忙しいから」と先延ばしにしてしまう。
心のどこかで「もっと違う生き方があるのでは」と感じているのに、今までの延長線上で日々を過ごしてしまう。
もしそんな感覚に少しでも心当たりがあるなら、今こそ「時間との向き合い方」を見直す良い機会かもしれません。

「人が選べないのは一つだけ。それは死ぬことだ。」

これは、コーチングの祖とされる故ルー・タイスの言葉です。

私たちは皆、いつか必ず人生の終わりを迎えます。
この事実は、どれだけ望んでも変えることはできません。
しかし、その終わりに至るまでの時間をどう使うかは、常に自分で選ぶことができます。

つまり、終わりがあるからこそ、その途中の時間の使い方が、人生の質や満足度を決定づけるのです。

同じ1年を過ごしても、惰性で流されるように過ごした1年と、自分の望む方向に向かって意識的に進んだ1年とでは、全く異なる意味を持ちます。
時間の長さは同じでも、そこに込められた「意図」と「選択」が異なれば、人生の手応えも大きく変わります。

私たちはしばしば、have to(やらなければならないこと)」に追われているように感じます。
仕事に行く、家事をする、人に合わせるといった義務感で一日が埋まってしまうこともあります。

もちろん、社会で生きる以上、守るべきルールや最低限の責任はあります。
約束を守り、他人を傷つけないことは重要です。
しかし、人生そのものにおいては、本来 have to は存在しないと、コーチングでは考えます。

本当は、どんな選択も自由であるはずなのに、「普通はこうだから」「今までこうしてきたから」「周りの期待に応えなければ」といった思い込みが、自分の時間の使い方を制限してしまうことがあります。

本当はやめたいのに、「ここまで続けてきたから」と自分の心を後回しにして続けてしまう。
気が進まない予定に、「断りにくいから」と参加し続けるうちに、自分のための時間がどんどん削られていく。
こうした積み重ねが、「なんとなく満たされない毎日」を生み出してしまいます。

ここで再び、最初の問いに戻ります。

あなたは、残りの人生をどのように過ごしたいですか。
心から望む過ごし方は、今の毎日とどれくらい一致していますか。
表面的な have to から少し離れて、「本当はどうしたいのか」を見つめ直すことが、have to から want to への大きな一歩になります。

多くの人は「財産」と聞くと、お金や不動産、肩書きや資格を思い浮かべるかもしれません。
しかし、最も大切な財産は「人生時間」です。

同じ1時間でも、その過ごし方によって価値は大きく変わります。
気乗りしない仕事をこなす1時間と、大切な人と笑い合う1時間、ゴールに向かって学ぶ1時間。
時計の上では同じ「60分」ですが、得られる充実感や成長、思い出はまったく異なります。

生きている間の時間を、どれだけ満ち足りたものにできるか。
その積み重ねが、あなたの「人生の価値」を形づくります。
特別なことをする必要はありません。
自分にとって本当に大切なもの、大事にしたい人、やってみたいことに、少しずつ時間を割く。
その小さな選択の連続が、やがて大きな違いを生み出します。

とはいえ、頭では「時間を大切にしたい」と分かっていても、現実の行動が変わらないことも多いものです。
「忙しいからあとで」「今はタイミングじゃない」と言いながら、つい今まで通りのパターンに戻ってしまう。
何から変えればいいのか分からず、気づけばまた同じ一日を繰り返しているように感じる。

そのとき鍵になるのが、マインド、つまり「心と身体の使い方」です。

コーチングでは、マインドの上手な扱い方を学びます。
自分が本当に望むゴールを見つけ、そのゴールを達成した自分を想像し、リアリティを高めていきます。
日々の選択をゴールに近づけることで、同じ24時間が全く異なる意味を持つ時間に変わります。

一人で考えていると、「こんなことをゴールにしていいのか」「自分には無理かもしれない」と、自分の可能性を自ら制限してしまうことがあります。
周囲の目を気にしたり、過去の失敗を思い出して、「本当はやりたいけれど、やめておこう」と諦めてしまうこともあるでしょう。

コーチは、あなたの中にある「本音のゴール」を一緒に見つけ、そのゴールに向かうプロセスを継続的にサポートします。
あなたが当然と思っている前提や思い込みに光を当て、新しい視点を提供しながら、「本当はこう生きたかった」という方向へ進む手助けをします。

周囲の期待や過去の実績に縛られず、「自分らしい人生時間」を選び取るための心強いパートナーです。

これまでの時間の使い方がどうであれ、今この瞬間から選び方を変えることができます。
過去の選択を悔やむ必要はありません。
その時々であなたなりのベストを尽くしてきた結果が、今のあなたです。

重要なのは、これからの時間をどう過ごしたいかです。

何に時間を使うのか。誰と時間を過ごすのか。
どんな未来に向かって時間を重ねていくのか。
そのすべてを選ぶ権利は、常にあなたの手の中にあります。

もし今、「このままの時間の使い方で良いのだろうか」と少しでも感じているなら、それはあなたの内側からの静かなサインかもしれません。
そのサインに気づいた今だからこそ、残りの人生時間を、より自分らしく、より満ち足りたものにしていくチャンスがあります。

あなたの人生時間は、あなただけの大切な財産です。
その貴重な時間をどう使っていくのか。
これからも、何度でも、自分自身に問いかけながら歩んでいきましょう。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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