「自分で設定したゴールをどうやって実現するか」。
その答えは、ゴール側のリアリティを高めることにあります。
リアリティとは、その世界が自分にとって自然であると感じられる現実感のことです。
まず確認したいのは、設定したゴールが「できるかどうか」ではなく、「やりたいかどうか」で選んだものかという点です。
過去の実績や現在の能力を基準にすると、思考が過去に縛られてしまいます。
条件や難易度は一旦脇に置き、心が自然に向かうかどうかで判断してみてください。
考えるだけで前向きになったり、説明が難しくても関連情報を調べたくなるなら、そのゴールは「やりたいこと」に近いサインです。
ゴールは、現在の延長線上にはない場所にあります。
しかし、ゴールに向かう途中で、以前の高揚感が少し落ちる瞬間が訪れることがあります。
これは失速ではなく、かつて外側にあった基準を内側に取り込み始めている合図です。
慌てる必要はありません。呼吸を整え、外側を上乗せして、次の一歩を踏み出します。
セルフイメージは「自分はこういう人だ」という自己像、コンフォートゾーンは「自分らしくいられる基準」を指します。
ゴールそのものを完全にリアルにすることはできません。
重要なのは、ゴール側のコンフォートゾーンの中で振る舞っている自分をできるだけ具体的に描くことです。
たとえば、会議で落ち着いて意見を述べる自分、朝の光を浴びて散歩した後にコーヒーを淹れて仕事に取り組む自分、相談を受ける立場として相手の話を静かに受け止める自分といった、姿勢や声のトーン、周囲の明るさまで思い浮かべる映像です。
この映像の解像度が上がるほど、日々の選択は自然に変わっていきます。
例えば、「未来日記」。
毎朝3分、すでに達成している日として今日の予定を書きます。
9時の定例で要点を簡潔に伝え、午後は企画書の構成を仕上げ、夕方に家族と夕食を囲む——というふうに、場の明るさや相手の声色、キーボードの打鍵感など五感の要素を一つだけ混ぜるのがコツです。
次は、「行動のミニ実験」。
本番の一割スケールで構わないので、今日の自分にも動かせる一片を試します。
たとえば転職を考えるなら募集要項のキーワードを一覧化し、発信を始めたいならSNSに3行メモを一つ投稿します。
頭の中の映像だけでは得られない触覚的なリアルが増え、セルフイメージの更新が加速します。
方法にばかり意識が向いてしまうことがありますが、手段は後から増やせます。
先に、どんな自分でいたいかを決めます。
また、近づくほど気力が落ちたように感じるのは正常反応です。
昔の外側がいまの内側になりかけているだけなので、次の外側を更新します。
人との比較で気持ちが沈むときは、比較対象を昨日の自分に戻します。
未来日記とミニ実験の連勝記録に意識を置くと、視線が自分の軸へ帰ってきます。
ゴールがリアルである必要はありません。
ゴールに向かって快適なゾーンにいる自分を具体的にイメージし、日々少しずつ行動している自分を確認することで、リアリティが確実に増していきます。
まずは3分間の未来日記を書いて、ちょっとした実験を試してみましょう。
そこから、引き寄せられるような日々が始まります。
