私たちが設定したゴールは、時が経つにつれて輝きを失ったり、知らず知らずのうちに外部の価値観に影響されることがあります。
だからこそ、定期的にゴールを見直し、自分の心に本当に合っているかを確認する「棚卸し」が必要です。
例えば、長い間追い求めてきたゴールがあるとします。
そのゴールに近づくにつれ、最初の頃のワクワク感が薄れ、惰性で進んでしまうことがあります。
また、よく考えてみると、そのゴールが実は自分の“本当の望み”ではなく、職場や家族、あるいは社会の期待によって形作られていたことに気づくことも少なくありません。
こうした違和感を放置すると、本来の人生とは異なる方向に進んでしまう可能性があります。
だからこそ、ゴールを定期的に見直し、「これは今の自分に合っているのか」「この方向で良いのか」と確認する作業が欠かせません。
人生は一つの軸だけで成り立つものではありません。
仕事、家族、健康、人間関係、学び、趣味、社会貢献など、さまざまな領域が重なり合って全体としての人生が形成されています。
このように複数の領域が存在する以上、ゴールもそれに応じて複数あるのが自然で、健康的です。
仕事が忙しくなると、「仕事のゴール」だけに集中しがちですが、それでは人生のバランスが崩れ、心の余裕を失ってしまいます。
例えば、仕事の成果を上げることだけに意識を向けすぎると、家族との時間や自分の趣味が後回しになり、「何のために頑張っているのか」が曖昧になることがあります。
複数のゴールを持つことは、自分という人間の多様性を尊重する行為であり、それぞれのゴールが全体としての人生を豊かに支えてくれます。
複数のゴールがあると、それぞれの関係性が見えにくくなることがあります。
そのため、棚卸しの際には、それぞれのゴールがどのようにつながっているのか、また互いにどんな影響を与えているのかを観察することが大切です。
例えば、英語を学びたいというゴールを持ちながら、海外での仕事に挑戦したいと考える人がいるとします。
この2つのゴールは実際には同じ方向を向いており、互いに自然に補完し合っています。
また、毎月一冊の本を読むというゴールは、自己成長や知性の向上といったより大きなゴールの一部であることもあります。
一方で、仕事のパフォーマンスを向上させたいという願望と、家族との時間を増やしたいという希望が、一見対立しているように見えることもあるでしょう。
しかし、実際には長時間働くのではなく、仕事の進め方を工夫することで成果を上げることができ、矛盾しているように見えた2つのゴールが共存する可能性は十分にあります。
このように、それぞれのゴールの背後にある意図や意味をじっくり観察すると、ゴール同士の関係性が驚くほど明確に見えてくるものです。
ゴールをより強固にするためには、達成した自分を生き生きとイメージすることが非常に効果的です。
このイメージが「ゲシュタルト」を形成し、自分の中に未来の世界の“まとまり”を作るための重要な要素となります。
ここで強調したいのは、ゴールを達成するための具体的な方法が分からなくても構わないという点です。
むしろ、方法が分からないほど遠くにあるゴールの方が、あなた自身の潜在能力を最大限に引き出してくれます。
例えば、将来海外で世界平和の講演をするという壮大なゴールを持っているとします。
今は英語が完璧でなくても問題ありません。
講演会場の雰囲気、ステージから見える観客の表情、そこで話しているときの自分の声の響き、胸に広がる感情などを、映画のワンシーンのように感じてみてください。
そこに自分の「嬉しさ」や「誇らしさ」などの感情を結びつけることで、ゴールへの臨場感が一気に高まります。
この臨場感が強まるほど、日々の行動は自然とゴールに引き寄せられていきます。
複数のゴールを並べてみると、時に矛盾しているように思えることがあります。
しかし、その矛盾を無理に排除したり、どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。
矛盾しているように見えるゴールも、あなたがそれらを持つことで、時間の経過とともに自然と調和へと向かいます。
人は一つの統合されたゲシュタルトを持っているため、ゴールの方向性が多少異なっていても、全体としてあなたが望む未来へとまとまっていく力が働きます。
むしろ、矛盾している部分があるからこそ、創造性が生まれ、新しい解決策やアイデアにつながることもあります。
大切なのは、あなた自身が人生の主役であるという事実を忘れず、「自分はどう生きたいのか」という問いを常に持ち続けることです。
ゴールの見直しは、人生をより積極的に生きるための重要なステップです。
定期的にゴールを振り返り、自分の内なる声に耳を傾けることで、人生の進むべき道がますます明確になります。
複数のゴールを持つことは自然であり、むしろ人生の豊かさを増すものです。
ゴール同士の関係をじっくり観察することで、これまで見えなかったつながりや可能性が浮かび上がります。
何よりも、あなたは未来を選び、創造する力を持っています。
定期的にゴールを見直しながら、自分らしい人生を思い切りデザインしていきましょう。
