初心に戻った後は、次に「ゴール設定」が重要なステップとなります。
どんなに大きな可能性や潜在能力を持っていても、ゴールがなければ、そのエネルギーは現状維持に費やされてしまいます。
気づけば、昨日と変わらない日々を繰り返し、同じ場所で足踏みしていることに気づくでしょう。
半年、一年と同じ状態が続くことも珍しくありません。
大きな問題がないように見えても、「本当はもっと違う生き方ができるはず」と心のどこかで引っかかりを感じることになります。
だからこそ、「ゴールを設定する」ことは、何度強調しても足りないほど重要です。
あなたの潜在能力を引き出し、未来への流れを変える最初の一歩が、まさにゴール設定なのです。
人は本来、今の自分からは想像できないような変化を生み出せる存在です。
しかし、その力は「どこへ向かうのか」という方向性がなければ、現状維持に向かってしまいます。
例えば、仕事に大きな不満はなく、毎月の給料にも問題はない。
しかし、「このまま同じ業務を10年続けるのだろうか」と不安になることがあります。
ここで、「1年後には独立して世界に向けてコーチングを広めている」といったゴールがなければ、脳は「今のままなら安全だ」と判断します。
その結果、新しいことに挑戦する機会があっても、「今は忙しいから」「自分にはまだ早いから」と自分を納得させて見送ってしまいます。
このとき「能力が足りない」わけではありません。
変化よりも現状維持を優先する脳の自然な働きが強く出ているだけなのです。
では、ゴールを設定すると何が変わるのでしょうか。
心理学ではこれを「認知的不協和」と呼びます。
少し難しい言葉ですが、実際にはとても身近な感覚です。
頭の中には「こうなりたい自分」の姿があり、目の前には「今の自分」がいる。
この二つの差がはっきりすると、人はそのギャップを埋めたくなります。
例えば「1年後には、海外の同僚と英語で自然に雑談できる自分になっている」と決めた瞬間、英語にほとんど触れていない今の自分との違いが急にはっきりしてきます。
すると、少しずつ行動が変わり始めます。
通勤時間に英語の音声を聞いたり、本屋で英語学習のコーナーを自然と眺めたり、「オンライン英会話の体験を申し込んでみようかな」と思い立ったりします。
これらはすべて、「理想の自分」と「今の自分」の間に生まれた違和感が、静かに背中を押している結果です。
ゴールとは、あなたの無意識に「本当に向かいたいのはこの方向だよ」と教えてくれるコンパスであり、エンジンでもあります。
多くの人が陥りがちなのは、「完璧なゴール」を追い求めすぎることです。
「一生をかけてやりたいことが見つかってからゴールを設定しよう」「本当にやりたいことが分からないから、まだ決めない方がいい」と考え、ゴール設定を先延ばしにしてしまうことがよくあります。
しかし、最初から完璧なゴールを描く必要はありません。むしろ、最初は「仮のゴール」で十分です。
一度ゴールを設定して動き出すと、見える世界が変わります。
出会う人や耳に入る情報が変わり、自分の興味も少しずつ変化します。
その中で、「これは自分に合っている」「これは違う」といった感覚が、より明確になってきます。
実際にゴールに向かって動いてみると、「あれ? 思っていたのと違うな」と感じる瞬間が必ず訪れます。
このとき、「最初のゴール設定は間違っていた」と自分を責める必要はありません。
むしろ、動いたからこそ、より自分らしい方向性が見えてきたのです。
そんなときは、迷わずゴールを再設定しても構いません。
ゴールは、一度決めたら変えてはいけない「契約書」ではなく、あなたの成長や気づきに応じて何度でも書き換えられる「設計図」のようなものです。
仮のゴールをきっかけに動き出し、違和感を感じたら、その都度少しずつ調整していく。
そのプロセス自体が、あなたを本当に望むゴールへと近づけてくれます。
ゴールを再設定する際に、もう一つ重要なポイントがあります。
それは「現状の外側」にゴールを置くことです。
少し頑張れば届きそうなゴールは安心感がありますが、大きな変化にはつながりにくいです。
どうしても、今の延長線上で考えてしまうからです。その場合、昨日までとあまり変わらない選択が続き、行動も大きくは変わりません。
一方で、「今の自分のやり方だけでは到底届かない」と感じる場所にゴールを置くと、状況は変わります。
必要な情報やスキル、関わる人の層が変わり、新しい世界に目が向くようになります。
例えば、「毎日なんとなく忙しく過ごしている自分」から、「自分の価値観に沿った働き方をしながら、余白のある時間を楽しんでいる自分」へとゴールを設定すると、そのギャップを埋めるためのアイデアが少しずつ浮かび上がってきます。
勤務の仕方を見直したり、副業や転職の情報を集め始めたり、家族との時間の使い方を真剣に考えるようになったりと、視点と行動が変わっていきます。
現状の外側にゴールを置き、そこに向かって進む中で、今まで見えていなかったチャンスが少しずつ見えるようになってきます。
結局のところ、すべては「ゴール設定」から始まります。
ゴールがあるからこそ、眠っている能力が目覚め、日常の小さな選択が少しずつ変化していきます。
完璧なゴールを最初から設定する必要はありません。
今のあなたが「これを目指してみたい」と思えるものを一つ、言葉にしてみましょう。
紙に書き出すのも良い方法です。
書いた瞬間から、あなたの中で何かが静かに動き出します。
そして、実際に行動してみて「何か違う」と感じたら、その都度ゴールを気軽に見直してください。
その柔軟さこそが、あなたを本当に望む未来へと導く力となります。
もちろん、このスタートラインに立つのは、今この文章を読んでいる「あなた」です。
