ゴールを達成するためには、単にゴールを設定するだけでは不十分です。
現状を打破し、理想の未来に向かうためには、「ゴール側のコンフォートゾーン」に移行することが重要です。
コンフォートゾーンとは、私たちが安心して過ごせる心理的な居場所のことです。
多くの人は現状を当然のことと感じ、そこから抜け出そうとしません。
しかし、ゴールを実現するためには、その「当然」を未来の理想の姿に変える必要があります。
その鍵となるのが「臨場感」です。
ゴールを実現するためには、ゴール側のコンフォートゾーンに強い臨場感を持つことが必要です。
臨場感とは、まるで今そこで体験しているかのようなリアルさのことです。
例えば、将来独立してカフェを開き、地域の活性化に貢献するというゴールがあるとします。
その際、「こんな店を作りたい」「こんな空間にしたい」というイメージを、単なる空想で終わらせず、まるで本当にそこにいるかのように感じることができれば、あなたの脳はその未来を「現実」として認識し始めます。
この臨場感を高めるのが「ビジュアライゼーション(可視化、映像化)」の技術です。
「ビジュアライゼーション」と聞くと、視覚によるイメージトレーニングを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それだけでは不十分です。
本当に効果的なビジュアライゼーションは、五感すべてを使って行います。
- 視覚(見る):理想の未来の風景や、自分がどんな服を着ているかを想像する。
- 聴覚(聞く):周囲の人の声、自分の話す言葉、BGMなどを思い描く。
- 触覚(触れる):椅子の質感、空気の温度、握手の感触などを感じる。
- 嗅覚(におい):店内のコーヒーの香り、季節の匂いなどを想像する。
- 味覚(味わう):飲んでいるコーヒーの味、食事の風味などを思い描く。
こうした感覚を組み合わせることで、脳はその体験を「今、実際に起こっていること」として認識します。
例えば、スポーツ選手が試合前に「勝利した瞬間」を何度もイメージするのは、まさにこの五感のビジュアライゼーションを活用しているのです。
コーチングの世界では、次のような公式がよく使われます。
I × V = R
- I(Imagination/想像)
- V(Vividness/鮮明さ)
- R(Reality/現実感)
これは、「想像」と「鮮明さ」が掛け合わさることで、「現実感(リアリティ)」が生まれる、という意味です。
例えば、ゴールを達成している未来の自分を想像したとき、そのイメージが曖昧だったらリアリティは生まれません。しかし、それが鮮明であればあるほど、「まるで今の自分の現実であるかのような感覚」が育ってきます。
そしてこの“リアリティのある未来”が、あなたをゴール達成へと自然に導いてくれるのです。
それでも、「五感をすべて同時に使うのは難しいかも」と思うかもしれません。
その場合は、まず自分が得意な感覚から始めてみましょう。
例えば、
- 映像を思い浮かべるのが得意なら視覚から。
- 音や言葉に敏感なら聴覚から。
- 触感や体感を意識しやすいなら触覚から。
どの感覚から始めても問題ありません。
重要なのは、「感情」を伴って未来を感じることです。
例えば、「ワクワクする」「うれしい」「安心する」といった感情がイメージと結びつくと、脳に強く記憶されます。
難しく考える必要はありません。
大切なのは、「まず試してみること」です。
数分でも構わないので、未来の自分を思い描き、そこに自分の五感と感情を重ねてみてください。
それがゴールへの第一歩です。
未来のあなたは、今のあなたの想像力と感情によって形作られます。
ゴールに向かって一歩を踏み出すのは、「今この瞬間のあなた」です。