ゴールを設定する際、抽象度を上げると視野が広がり、対象範囲が拡大しますが、その分「達成したときの臨場感」が曖昧になることがあります。
抽象度を上げると、個人から家族、地域、都市、県、国、アジア、そして世界へと視点が広がります。
しかし、これほど広範囲を一度に想像しようとすると、具体的な行動に結びつけるのが難しくなります。
例えば、「家族の幸せ」は具体的にイメージしやすいですが、「世界全体の幸せ」を具体的に描くのは非常に難しいです。
「自分の幸せ」から一段階上げて「家族全員の幸せ」をゴールにすると、家族の笑顔や会話の様子など、具体的なイメージが浮かびやすくなります。
その結果、達成後の自分の行動や感情を具体的に想像でき、行動計画が立てやすくなります。
また、自分だけでなく大切な人の幸せを目指すことで、責任感ややりがいが増し、自然とモチベーションも高まります。
身近な例としては、「自分の休日のリフレッシュ」ではなく「家族全員で週末にリフレッシュすること」をゴールにすることが挙げられます。
例えば、「毎月第2土曜日に家族でハイキングに出かけ、写真を撮って思い出を共有する」といった具体的なプランが立てやすくなります。
ビジネスの場面では、「プロジェクト成功」ではなく「部署全体の業績向上」をゴールに設定すると、メンバーの協力を得やすくなります。
例えば、「月次ミーティングで進捗を全員に共有し、各自からの改善提案を必ず1つ取り入れる」という具体的な行動を決めることで、チーム全体の一体感と成果が向上します。
まずは現在のゴールのすぐ上の“自然な隣接レベル”(家族、チーム、コミュニティなど)にスコープを広げます。
そして、その範囲で達成したときのシーンを「誰が」「どこで」「何をしているのか」まで詳しく想像し、行動プランに落とし込みましょう。
最後に、これらを実行しながら必要に応じて抽象度を調整し、常にリアルなイメージを保つことが重要です。
抽象度を無限に上げるのではなく、「一つだけ上の抽象度」をテーマに設定することで、具体的なイメージを維持しつつ大きなゴールを描けます。
まずは身近な範囲から段階的に広げ、行動プランを積み重ねる──その一歩が、確実に成果へとつながります。