ゴールは更新していくもの —— エネルギーを保つ「再設定」のガイド

コーチングを学び始めたあなたは、すでに新たな未来への道を歩み始めています。
最初の一歩は非常に価値がありますが、進むにつれて最初の強い推進力は徐々に薄れていくことがあります。
これは意志の問題ではなく、仕組みの問題です。
現状とゴールの間にあるギャップがエネルギーの源であり、その差が縮まると自然と勢いも落ち着いていくのです。
強く引っ張った輪ゴムが元に戻るときに勢いが出るのと同じで、縮み切れば落ち着く。
だからこそ、ゴールの「再設定」が必要になります。

心から達成したいと思って立てたゴールでも、近づくにつれてそれは日常に溶け込み、かつての挑戦は次第に“安全圏”として認識されます。
安心は大切ですが、それだけでは前進の燃料にはなりにくいものです。
手が届きそうだと感じた瞬間に、先を見据える。
この更新が、最初の熱意を保ち続ける秘訣です。

まだ達成していないのに早すぎるのでは、と戸惑う必要はありません。
むしろ、以前より不安が減って“普通”に感じられる、行動に大きな気合いが要らなくなった、周囲から「変わったね」と言われるようになった――こうした小さな変化は、あなた自身が成長し、当初のゴールが通過点になりつつあることを示しています。
早すぎるくらいでちょうどいい。
迷いを感じたら、その迷いを合図と捉え、静かに次の基準へと更新してみてください。

再設定は当初のゴールを軽んじる行為ではありません。
達成を前提に、感謝を込めて通り過ぎるイメージを持つと、歩みは止まりません。
マラソンの給水所で水を受け取りつつ足を止めないように、達成感を味わいながらも視線は少し先に置く。
こうした姿勢が、成果を積み重ねるリズムをつくります。

例えば、ランニングでは、「十キロを無理なく走れる」が日常になったら、単に距離を伸ばすのではなく「ハーフマラソンを後半ビルドアップで走る」といった基準の更新が有効です。
フォームの見直し、補給や睡眠の調整など、取り組むテーマが自然に増え、工夫の余地が広がります。
数字よりも体験の質を設計することで、前へ進むエネルギーが再び湧いてきます。

難しく考える必要はありません。
まず、いま何が「自然」になったのかを振り返ります。
以前は勇気が要った行動が、いつの間にか習慣になっていないかを探すところから始めます。
次に、数字よりも先に“情景”で未来を描きます。
どこで、誰と、どんな表情でそれをやっているのかを具体的に想像し、身体感覚を伴ったリアリティに変えていきます。
最後に、90日後の自分を仮設定します。
3カ月先という程よい距離感は、現実の行動計画に橋を架けてくれます。
この順番で考えると、内側の動機に根ざしたゴールが、無理なく立ち上がってきます。

「ちょっと早いかな」と思うタイミングで更新するのが最良の戦略です。
勢いを生み出すのは、ゼロから始めるよりも、すでに燃えている火を少しずつ大きくする方がずっと簡単です。
思考も行動も温まっている今のうちに、次のゴールに火をつけましょう。
あなたは日々進化しています。
だからこそ、次のゴールに向かって進み続けましょう。
通過点を軽やかに超えていく自分を、これからの基準にしていきましょう。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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