私たちは常に「言葉」で形作られた世界の中で暮らしています。
目には見えないけれど、心の中で自分に語りかけるセルフトークは、日々のあらゆる瞬間に行われています。
例えば、ミスをしたときに「しまった……」と心の中で呟いたり、挑戦の前に「よし、やってみよう」と自分を奮い立たせるのもセルフトークの一部です。
セルフトークを意識的に整えることができるようになると、他人の言葉にも敏感になります。
例えば、同僚が失敗を嘆いて「またやってしまった」と言っているのを聞いたとき、あなたが「大丈夫、次はきっとうまくいくよ」と自然に声をかけられるのは、自分のセルフトークが整っている証拠です。
無意識にネガティブなセルフトークを繰り返すと、脳は「失敗」や「不安」「後悔」に焦点を当てます。
その結果、行動のたびに過去の失敗を思い出し、モチベーションが下がります。
さらに、私たちの思考パターンを変える「ブリーフシステム」が否定的に強化され、同じ失敗を繰り返しやすくなります。
まずは、自分がどんな言葉を使っているかを記録してみましょう。
スマホのメモや録音アプリを使い、自分が呟くフレーズを客観的に確認します。
そこで見つかった「また失敗した」「どうせ自分は…」といった否定的な表現は、自分を励ます言い方に置き換えます。
例えば「また失敗した」は「次はこう工夫してみよう」に変えると、脳は自然と前向きな情報を探し始めます。
さらに、過去に成功した具体的な体験を思い返し、自分がうまくいった瞬間を鮮明にイメージすることで、成功体験を再現する脳の仕組みを活用できます。
日常の中では、スマホのリマインダーや付箋メモを活用し、「ポジティブセルフトーク実践中」というメッセージを定期的に表示させると、意識がポジティブな言葉に向かいやすくなります。
自分のセルフトークを整えることで、周囲の人を支えることも可能です。
例えば、家族や友人が「自分には無理だ」と落ち込んでいるときには、その言葉を否定するのではなく「あなたならできると信じているよ」と優しく声をかけることで、相手の思考パターンを穏やかにポジティブにシフトさせる助けになります。
こうした小さな声かけが積み重なると、職場や家庭の雰囲気が明るくなるだけでなく、チームや家族全体のパフォーマンス向上にもつながります。
セルフトークは、私たちが無意識に行っている自己対話であり、その内容が行動や思考の方向性を大きく左右します。
ネガティブなセルフトークを続けると、脳のブリーフシステムが否定的に書き換えられ、失敗や不安が目に付きやすくなります。
一方で、意識的にポジティブな言葉を選び続けることで、思考・言動・行動すべてが前向きに変化し、目標達成への近道となります。
まずは、自分のセルフトークを観察し、小さな言葉遣いの変化から始めてみましょう。
その効果はすぐに実感できるはずです。
