「やりたいことはあるのに、やり方が分からなくて動けない」
「準備が整ったら始めよう、と思っているうちに時間だけが過ぎていく」
「調べれば調べるほど、かえって何から手をつければいいか分からなくなる」
もしあなたがそう感じているなら、それは準備不足のせいではありません。
実は、「方法を見つけてから動こう」という順番そのものが、前進を止めているのかもしれないのです。
今日は、「ゴールが先、認識はあとから」という原則と、ゴールを決めた瞬間に脳が動き出す仕組みについてお伝えします。
「やり方が分かったら始めよう」が、いつまでも始まらない理由
何か新しいことを始めるとき、ほとんどの人はまず「やり方」を探します。
本を読む。ネットで調べる。経験者に聞く。
やり方が分かってから動こう。準備が整ってから始めよう。
これは一見、堅実で合理的なアプローチに思えます。
しかし、この順番には落とし穴があります。
方法を調べるほど、新たな疑問が湧いてくる。
一つの方法を見つけると、「もっと良い方法があるのでは」と迷いが生まれる。
準備が「十分」だと感じるタイミングは、いつまで経っても来ない。
結局、「準備が整ったら」は「永遠に始まらない」と同じになってしまうのです。
この状態が起きるのは、やる気がないからではありません。
順番が逆だからです。
ゴールを先に決めると、脳の中で何が起きるのか
前回、ゴールは現状の外側に設定することが大切だとお伝えしました。
そして「方法が見えないこと」こそが、正しいゴール設定のサインであると。
では、方法が見えない状態でゴールを決めると、脳の中では何が起きるのでしょうか。
ゴールが設定されると、脳は「現状」と「ゴール」の間にギャップを認識します。
このギャップを脳は「解決すべき課題」として捉えます。
すると、RASのフィルターがゴールに合わせて切り替わり、ギャップを埋めるための情報を自動的に探し始めるのです。
これは意識的に「探そう」と努力する必要はありません。
ゴールを決めた瞬間から、脳は無意識のレベルで必要な情報を集め始めます。
ふとした会話の中にヒントが見つかる。
何気なく目にした記事が、次の一歩を示してくれる。
まったく関係ないと思っていた経験が、実はゴールにつながる道だったと気づく。
これらは偶然ではありません。
ゴールによってRASが再設定され、これまでスコトーマに隠れていた情報が意識に上がってきた結果なのです。
方法を先に探すと、ゴールが「現状の内側」に閉じ込められる
「ゴールが先、方法は後」の原則を理解するために、逆の順番──「方法が先」──だと何が起きるかを考えてみましょう。
方法を先に探すということは、今の自分の知識やスキルで「できること」の中からゴールを選ぶということです。
すると、どうなるか。
前回お伝えしたように、今の自分で方法が思いつくものは、すべて現状のコンフォートゾーンの内側にあります。
つまり、方法を先に考える限り、ゴールは必ず現状の内側に収まってしまうのです。
「英語を使って海外で仕事をしたい」→ 「でも英語力が足りない」→ 「まずはTOEICの点数を上げよう」
最初のwant toは現状の外側にありました。
しかし、「方法」というフィルターを通した瞬間に、ゴールは現状の内側に縮小されてしまいます。
方法を先に探すことは、ゴールを小さくすることと同じなのです。
だからこそ、順番が大切です。
まずゴールを決める。方法は、その後に脳が見つけてくれる。
認識は、ゴールを決めた「あと」から変わっていく
「ゴールが先、認識はあとから」──この原則は、脳の仕組みそのものに基づいています。
認識とは、「何が見えているか」「何を重要だと感じているか」ということです。
そしてこれまでお伝えしてきたように、認識はRASとブリーフ・システムによって決まっています。
ゴールを設定する前の認識は、過去の情動記憶やブリーフ・システムに基づいています。
過去の基準で世界を見ているため、新しい可能性は見えません。
しかし、ゴールを設定した後は、RASのフィルターが切り替わります。
過去の基準ではなく、ゴールに関連する情報が「重要」と判断され始めます。
すると、認識が変わります。
昨日まで気づかなかった情報に気づく。
昨日まで関心がなかったことに興味が湧く。
昨日まで「自分には関係ない」と思っていた世界が、突然意味を持ち始める。
これが、「認識はあとから変わる」ということです。
ゴールを設定する前に「すべてを見通せる」状態を待つ必要はありません。
ゴールを決めれば、見える世界は自動的に変わっていくのです。
「決めたのに動けない」ときは、ゴールがhave toになっていないか確認する
「ゴールを決めたのに、何も変わらない」「脳が動いてくれている気がしない」
もしそう感じるなら、一つ確認すべきことがあります。
そのゴールは、本当にwant toですか?
have to──やらなければならない──で設定されたゴールでは、脳はフル稼働しません。
義務感で設定されたゴールに対して、脳は「最低限の対処」しかしないからです。
RASのフィルターも大きくは切り替わらず、創造性のスイッチも入りにくい。
結果として、「決めたのに何も起きない」という状態になります。
しかし、want to──心から望むゴール──であれば、脳の反応はまったく違います。
ゴールに向かうワクワクが脳を活性化し、RASは全力でフィルターを切り替え、創造性は最大限に発揮されます。
方法は、あなたが「探そう」としなくても、脳が勝手に見つけ始めるのです。
「ゴールが先、方法は後」が機能する条件は、ゴールがwant toであること。
これが、この原則の大前提です。
まず決める。認識も方法も、あとからついてくる
ここまでの話を、一つのシンプルな原則にまとめます。
まず、want toのゴールを決める。
認識も、方法も、あとからついてくる。
方法が見えないから決められないのではなく、決めていないから方法が見えないのです。
ゴールを決めた瞬間に、RASが切り替わります。
スコトーマが外れ、新しい情報が視界に入ってきます。
脳が自動的にギャップを埋める方法を探し始めます。
このプロセスを信頼すること。
それが、「ゴールが先、認識はあとから」という原則を実践するということです。
完璧な準備は要りません。
すべてが見えている必要もありません。
まず決める。そこから、すべてが動き始めます。
冒頭でお伝えした、「やり方が分からなくて動けない」「準備が整ったら始めよう」「調べるほど分からなくなる」という体験。
その原因は、「方法が先、ゴールは後」という順番にありました。
順番を逆にしてください。
まず、心から望むゴールを決める。方法は、決めた後に脳が見つけてくれます。
ゴールを決めた瞬間から、あなたの脳はすでに動き始めています。
あとは、その脳の力を信じて、一歩を踏み出すだけです。
