ドリームキラーとうまく付き合う——ゴールを守る話し方と関係の保ち方

新しいことを始めると、多くの人から様々な意見や助言が寄せられます。
時には励ましの言葉が力を与えてくれる一方で、「それで大丈夫?」「やめたほうがいいんじゃない?」といった声に心が揺れることもあるでしょう。
これがいわゆるドリームキラーです。
しかし、誤解しないでほしいのは、彼らの多くが意地悪であなたのゴールを妨げようとしているわけではないということです。
多くの場合、彼らは「あなたのため」と信じて助言しており、その判断は自分自身の過去の成功や失敗の経験に基づいています。
未知の挑戦は、過去を基準にすると危険に見えることが多いのです。

親やパートナーは生活の安定を重視します。
同僚や先輩は組織の常識や慣例を守ることに価値を置きます。
友人は今のあなたのイメージを壊したくなくて、変化にブレーキをかけることがあります。
これらは悪意ではなく、守ろうとする気持ちの裏返しです。
だからこそ、感情的に対立する必要はありません。
仕組みを理解し、対応を変えれば、関係を壊すことなく前進できます。

本気のゴールは、むやみに口にしないほうが進みやすくなります。
発芽したばかりの芽は、まだ風に弱いのと同じです。
意見という強い風にさらす前に、根を張る時間が必要です。
では誰に話すのか。
答えはコーチです。
ここでいうコーチとは、可能性を前提に、評価や妥協ではなく実現に向けて伴走する存在です。
秘密が守られ、視点の高さを調整し、ゴールと現状のギャップを埋める設計を一緒に行います。
「ゴール」はコーチにのみ共有する。
これが基本の姿勢になります。

それでも、つい話してしまうことはあります。
反対に遭ったときは、包摂するゴールという発想が役に立ちます。
包摂とは、相手にとって大切なことも、あなたにとって大切なことも、より大きな目的にまとめて包含する考え方です。
たとえば、あなたは独立したい。パートナーは収入の不安定さを心配している。
ここで「独立する・しない」という二者択一にとどまると争いになりますが、「家族が安心して挑戦できる生活基盤をつくる」という一段高い目的に視点を引き上げると、両者の願いは同じ枠の中に収まります。
そこから逆算して、半年分の生活費を先に確保する、会社員を続けながら夜と週末で事業を検証する、進捗は毎月数字で共有する、といった安心の設計を一緒につくれば、反対は「計画的に進めよう」という協力に変わります。

抽象度を上げるという言葉は難しく聞こえますが、カメラのズームを少し引くイメージだと理解しやすくなります。
目の前の「転職」「副業」「起業」だけをクローズアップで見ると衝突しますが、「家族の安心」「長期的な成長」「学びと挑戦が両立する暮らし」という広い画角で捉え直すと、同じ画面の中で共存できる配置が見えてきます。
視点が上がると、選択肢も自然と増えていきます。

心配を受けたときの言葉選びには、ちょっとしたテクニックがあります。
まずは感謝の意を示し、その後に共通の価値観を確認すること。
この二つが揃うと、相手はあなたの挑戦を「否定すべきもの」ではなく「支援すべきもの」として捉え直しやすくなります。
そして、「必要なときには相談させてください」と伝えることも重要です。
これらは対立ではなく、協力的な姿勢を示す方法です。

忘れてはならないのは、ドリームキラーの存在は進歩の兆しでもあるということです。
誰からも何も言われない挑戦は、たいてい現状の延長に過ぎません。
反対や不安の声が増えたなら、それは「現状を超えた」一歩を踏み出した証拠と考えてよいでしょう。
同時に、それは計画の甘さや説明不足を知らせる警告でもあるかもしれません。
反応を学びの材料とし、計画を磨き続けることで、挑戦はより現実的なペースで進んでいきます。

最後に、多くのドリームキラーは保護の意図から生まれます。
ゴールはコーチとだけ共有するのが賢明です。
もし反対に直面したら、相手の大切さと自分の大切さを包み込む上位のゴールを掲げ、対話を重ねましょう。
そうして得られる反応は、前進の手応えであり、計画を洗練するためのヒントです。
あなたのゴールは未来を創る種です。
大切にしながら、賢く、着実に育てていきましょう。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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