日々の時間の使い方を振り返ってみましょう。
特に、予定の合間に生まれる「隙間時間」をどのように活用しているか、思い出してみてください。
電車を待つ数分やエレベーターを待つ短い時間、会議の合間の5分、寝る前のスマホを触る時間など、意識してみると、意外と多くの「細切れの時間」が一日の中に散らばっていることに気づくでしょう。
こうした隙間時間ができると、多くの人は無意識にスマホを手に取ります。
ニュースアプリで最新情報を追ったり、SNSのタイムラインをスクロールしたり、軽い気持ちで投稿してその反応を気にしたりすることもあるでしょう。
時には、スマホゲームを始めて気づけば数10分が過ぎていることもあるかもしれません。
「ちょっと見るだけ」のつもりが、気づけば疲れていたり、何をしていたのかわからないまま時間が過ぎていたりすることもあるでしょう。
もちろん、ニュースやSNS、ゲームが悪いわけではありません。
必要な情報を得たり、気分転換になったりすることもあります。
しかし、「どうせスマホを見るなら」、その時間を少しでも自分のゴールに近づけるために使うのも良い選択かもしれません。
隙間時間をゴール達成に向けた時間に変える方法として、まず試しやすいのが読書です。
スマホにKindleアプリを入れておけば、紙の本を持ち歩かなくても、どこでも少しずつ読み進めることができます。
例えば、通勤電車で座れなくても、つり革につかまりながら1〜2ページ読むことができます。
お昼休みの最初の5分だけでも本を開くことができますし、寝る前の「なんとなくSNSを見る時間」を少しだけ読書に置き換えることもできます。
一度に長時間読めなくても、1日10分の積み重ねが1ヶ月続けば、合計で5時間以上の読書時間になります。
短い時間をつなぎ合わせるだけで、一冊を読み切ることも可能です。
読む本の内容は、「自分のゴールに関連するもの」を意識して選ぶと、さらに効果的です。
将来海外で活躍したいなら英語学習や異文化理解の本を選ぶことができますし、起業を目指すなら、起業家の体験談やマーケティングの本が役立ちます。
家族との時間を大切にしたいなら、子育てやパートナーシップに関する本を読むことで、ゴールに向けた具体的なイメージを持ちやすくなります。
もう一つ、簡単で効果的な方法があります。
それは、スマホの待ち受け画面をゴールを象徴する画像に変えることです。
例えば、いつか訪れたい国や街の風景を設定するのも良いでしょう。
将来実現したいライフスタイルに近い部屋や働き方の写真を選んだり、自分で作った「ゴールを表す言葉」が書かれた画像を使うのも一案です。
私たちは一日に何度もスマホを見ます。
ロック画面を解除するたびに、ゴールに関連する画像が目に入ると、その瞬間に「そうだ、自分はこの未来を目指しているんだ」という意識が蘇ります。
たった1秒や2秒でも、その積み重ねがゴールの世界のリアリティを少しずつ高めてくれます。
ここで、心の働きについて少し考えてみましょう。
人は「ゲシュタルト」と呼ばれる、世界の見え方のまとまりを、一度に一つしか強く持てないと言われています。
簡単に言うと「今、どんな世界を現実として感じているか」という枠組みのことです。
例えば、仕事のストレスで頭がいっぱいのときは、目の前のタスクや不安が「現実のすべて」のように感じられます。
一方、楽しみにしている旅行の計画を立てているときは、心はすでに旅先に飛んでいて、日常の悩みは一時的に背景に引っ込んでしまいます。
このように、現状という物理的な世界のリアリティと、ゴールとして描いている未来のリアリティが、私たちの心の中で常に綱引きをしています。
そして、リアリティが高い方が、その人にとっての「現実」として強く感じられ、その現実にふさわしい行動を自然に選ぶようになります。
もし一日のほとんどの時間を、ニュースやSNSなど「今起きていること」ばかりに意識を向けて過ごしていると、現状のリアリティばかりが強くなります。
逆に、隙間時間にゴールにつながる読書をしたり、待ち受け画面で未来を思い出したりすると、少しずつゴール側の世界のリアリティが高まり、選ぶ行動も変わっていきます。
とはいえ、「ゴール」と一言でいっても、その多くは抽象的な概念になりがちです。
もっと自由に働きたい、世界で通用する人材になりたい、家族みんなが安心して暮らせる生活を送りたい――このような概念は大切ですが、そのままではリアリティを感じにくいこともあります。
そこで役立つのが、「ゴールを達成した自分の一場面」を具体的に描くことです。
自分に向かって、次のような問いかけをしてみてください。
ゴールを達成したあなたは、どんな場所にいるでしょうか。
カフェ、自宅の書斎、あるいは海外のホテルのラウンジかもしれません。
そこには誰が一緒にいるでしょう。
家族と笑い合っているのか、仲間と新しいプロジェクトについて話しているのか、それとも一人で静かな時間を楽しんでいるのかもしれません。
そのときのあなたは、どんな表情をしているでしょう。
安堵の表情かもしれませんし、自信に満ちた笑顔かもしれません。
耳を澄ませると、どんな声や音が聞こえてくるでしょう。
感謝の言葉、笑い声、キーボードを打つ音、あるいは波や風の音かもしれません。
その場であなたは何をしているのか、具体的に思い浮かべてみてください。
ここまでイメージが具体的になると、「こうなれたらいいな」という願望が、少しずつ「ここで生きている自分の姿」に近づいていきます。
これが、ゴール側のリアリティを高めるということです。
ゴール達成のイメージは、一度だけ強く描けば十分というものではありません。
日常の中で何度も、短い時間で構わないので思い出してみることが大切です。
朝、スマホの待ち受け画面を見ながら「今日もこの未来に近づく一日を過ごそう」と、心の中でつぶやいてみる。
通勤電車の中やエレベーターを待っているときに、目を閉じて数十秒だけ、ゴールを達成した自分の一日を頭の中でなぞってみる。
夜寝る前には、その日に少しでもゴールに近づいた行動を思い出しながら、未来の自分の姿をもう一度思い浮かべる。
こうした小さな習慣を重ねることで、最初はぼんやりしていたイメージが、だんだんと色や音、感情を伴って立ち上がってきます。
やがて、その未来の自分の姿が、「特別な誰か」ではなく「自然な自分」に感じられるようになっていきます。
特別な準備は必要ありません。
今日からできる一歩は、とてもシンプルです。
まず、スマホの待ち受け画面を見直してみてください。
今の画像を、あなたのゴールを象徴する一枚に変えてみます。
次に、Kindleアプリや本の中から「これはゴールにつながる一冊だ」と思える本を一つ選びます。
そして、隙間時間に「なんとなくSNSを開く」のではなく、「まずその本を一ページだけ読む」という小さな約束を自分と交わしてみてください。
今日のたった数分の選択が、未来のあなたの「当たり前」を静かに形作っていきます。
ゴールへ向かう道は、特別な誰かだけのものではありません。
あなたの隙間時間からでも、ゆっくりと、しかし確実に開いていきます。
ゴールへ向けて、あなたも一歩を踏み出してみませんか。
