転職しても、結局は同じ働き方をしている自分に気づく

新しい会社に移って半年。
環境は変わったはずなのに、ふと気づくと、前の職場とほとんど同じ働き方をしている自分がいます。

今度こそ定時で帰ろうと思っていたのに、また同じ時間まで残っている。
言いたいことは早めに伝えようと決めていたのに、やっぱり飲み込んでいる。

努力が足りないわけではありません。
脳が、昨日までの自分を「今日もそのまま」再生しているだけなのです。

目次

朝の支度も、仕事の段取りも、無意識でこなせる理由

そもそも、なぜ脳は同じパターンを繰り返すのでしょうか。
理由はシンプルで、脳が徹底的に「省エネ」を好むからです。

脳は体重の2%ほどの重さしかないのに、全身のエネルギーの約20%を使う、とてもコストの高い臓器です。
だからこそ、できるだけ節約しようとします。

もっとも効率のいい節約方法が、過去にうまくいったパターンをそのまま再利用すること
新しく考えて判断するには大きなエネルギーが要りますが、過去のパターンを再生するだけならほとんど消費せずに済みます。

朝の支度を考えずにこなせるのも、慣れた資料をすぐ形にできるのも、この仕組みのおかげです。
ただし、この省エネモードは思考や感情にも働きます。スマホの予測変換に少し似ていて、打ち始めるといつもの言葉が先回りして出てくる。便利な反面、放っておくと同じ言い回しばかりになります。

「やっぱり、いつも通りでいいか」がやってくる瞬間

理由はもう一つあります。生存本能です。

脳にとって最も大切な仕事は、生き延びること。
昨日まで無事に過ごせたという事実は、昨日までのやり方が「結果として安全だった」証拠でもあります。

だから脳は、実績のあるパターンを手放したがりません。新しいことは未知であり、未知はリスクだからです。この傾向を現状維持バイアスと呼びます。

新しい進め方を提案しようとして、「前のやり方のほうが無難かも」と思い直す瞬間。
「今日じゃなくても、来週でいいか」と先延ばしにする瞬間。
どちらも弱さではなく、脳が変化のリスクを避けようとする自然な反応です。

それは弱さではなく、脳の自然な働きだった

ここまで来ると、意志の力だけで変わろうとするのが難しい理由も見えてきます。

脳が過去を繰り返すのは、過去を基準にいまを判断しているからです。
「昨日までの自分」をもとに「今日の自分」を決めているので、昨日と同じ今日が生まれやすい。

環境を変えても働き方が変わらなかったのは、会社が変わっただけで、判断の基準を前のまま持ち込んでいたからとも言えます。

「未来の自分なら、どうする?」と問いかけてみた

流れを変えるには、時間軸を反転させること。
過去から今日を見るのをやめて、未来から今日を見るのです。

「望む未来に向かっている自分なら、この場面でどう判断するだろう」
「ゴールに立っている自分なら、今日をどう過ごすだろう」

このとき効いてくるのが、ゴールの抽象度です。
「来月までに資格を取る」といった目標も大切ですが、それだけだと脳はいまの延長で物事を見てしまいます。
「どんな自分でありたいか」という高い場所に旗を立てるほど、そこへ向かう手段は一つに縛られなくなり、脳は昨日までのやり方に固執しなくなります。


決めたのに続かない、環境を変えたのに同じ自分に戻る。
その正体は、意志の弱さではなく、脳による過去の自動再生でした。

今日の帰り道で、ひとつだけ問いかけてみませんか。
「なりたい自分だったら、明日の朝、最初に何をするだろう」
すぐに答えが出なくても構いません。基準を未来側に置いた瞬間、再生ボタンの上に、あなた自身の指がそっと戻ってきます。

次回は、その一歩を踏み出そうとしたときに現れる「自分にはまだ早い」という見えない天井についてお話しします。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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