忙しさに追われると、自分の感情や欲求が見えなくなり、まるで“心を失う”ような瞬間があります。
朝から晩まで予定をこなすだけで一日が終わる。
そんなときこそ立ち止まり、「私は本当にやりたいことをしているのだろうか?(“Want to”だろうか?)」と自分に問いかけてみてください。
「今、努力している」と感じるときは注意が必要です。
ここでいう“努力”とは、本当はやりたくないことを理性や義務感で無理に進めている状態を指します。
夢中になって時間を忘れるような活動は、たとえ周囲から「すごい努力だね」と言われても、本人にとっては“努力”ではなく、むしろ没頭です。
そして厄介なのは、「努力している自分」を褒めてくれる人や環境が、実はあなたを自分たちの都合のいい枠に押し込めている可能性があること。
善意に見える助言や評価が、あなたの本当にやりたいことから目をそらさせているかもしれません。
「これは本当にやりたいことだろうか?(“Want to”だろうか?)」という判断は、あなた自身のゴールから逆算して行います。
今取り組んでいることが、設定したゴールの世界観や価値観とつながっているなら、大変さがあっても自然と体が動くはずです。
逆に、「自分は努力している」と意識した瞬間、心のどこかでブレーキがかかっている証拠。
ゴールに照らして再点検してみましょう。
たとえば、英語学習をしているAさんが「毎日1時間やらなきゃ」と自分を追い込んでいたとします。
しかし、彼の本当のゴールは「世界中の人と協働して新しい教育システムを作ること」でした。
そう気づいた瞬間、勉強方法は一気に変わります。
オンラインの国際プロジェクトに参加して実践的に使う、好きな海外ドラマを題材に学ぶ——“やらなきゃ(Have to)”から“やりたいからやる(Want to)”へとスイッチが切り替わるのです。
“本当にやりたいこと(Want to)”を確かめるときに大切なのは、肩の力を抜くこと。
緊張や焦りの中では、無意識に「やるべき」「こうでなければ」というセルフトークが優勢になります。
深呼吸をして、好きな音楽を流し、散歩をしながら問いかけてみましょう。
「本当にやりたい?」と静かにたずねるだけで、心の奥から小さな声が聞こえてきます。
さらに効果的なのは、環境を少し変えることです。
普段とは違うカフェや図書館、ホテルのラウンジに身を置くと、視点が自然に切り替わり、思考が柔らかくなります。
忙しい日常の延長線上では見えなかった“本当にやりたいこと(Want to)”が、ふっと輪郭を現すことがあるのです。
「努力している自分」に違和感を覚えたら、それは軌道修正の合図。
ゴールから見て本当にやりたいことなのかを丁寧に確かめ、必要なら方向を変える勇気を持ちましょう。
日々を“やりたい(Want to)”で満たすほど、心は生き生きとし、結果的に行動量も質も自然と上がっていきます。
忙しいからこそ、立ち止まる時間をつくる。
リラックスして自分に問う。
その小さな習慣が、心を失う日々から、心が躍る毎日へと連れて行ってくれます。