「本当にやりたいこと」が浮かばない、その理由──新生活で最初に置きたいゴールの話

新生活がはじまり、「この機会に、改めて自分のゴールを考えてみよう」と思い立つ。
ノートを開き、ペンを構える。
そして、こんな状態に出くわします。

「やりたいことを書こうとすると、頭が空白になる」
「ゴールを書き出そうとしても、義務や期待の言葉しか浮かんでこない」
「夢を語ろうとした瞬間、『現実的に考えれば』という声が先に出てくる」

想像力が乏しいわけではありません。
「本当にやりたいこと」が見えにくくなるのには、脳の仕組みに由来する理由があるのです。

新生活は、ゴールを置き直すいちばん自然なタイミングです。
今日は、本音のゴールがなぜ埋もれてしまうのかと、それをどう掘り起こしていくかを整理します。

目次

新生活でゴールを考えようとすると、頭が空白になる

「夢は何ですか」と聞かれて、すぐに答えられる人は多くありません。
「やりたいこと」を聞かれると固まるのに、「やるべきこと」を聞かれればいくらでも並べられる。
こうしたアンバランスは、新生活の節目で特にはっきり姿を見せます。

これは、夢がないわけではありません。
本音のゴールが、have to(やらなければならない)の層に埋もれてしまっているだけなのです。

幼い頃から、私たちは数えきれないほどの「こうあるべき」を受け取ってきました。

「安定した仕事に就くべき」
「結果を出して評価されるべき」
「他の人に迷惑をかけてはいけない」
「もっと現実的に考えるべき」

こうした言葉は、親や学校や社会から繰り返し届き、いつの間にか自分の独り言の中に溶け込んでいきます。

これまで触れてきたように、独り言は自己イメージをつくり、自己イメージは「自分にとっての当たり前」の範囲を決めます。
だから、「やりたいことを考えて」と言われても、出てくるのはhave toの言葉ばかり。
本音のゴールは、スコトーマの奥に隠れたままになっているのです。

本物のゴールに必要な、二つの条件

では、どんなゴールが「本当のゴール」と言えるのでしょうか。
有効なゴールには、二つの条件があります。

ひとつ目は、want toであること。

「やらなければならない」「やらないと怒られる」「周りに認められたい」──こうしたhave toのゴールは、達成しても充実感が続きません。
脳はそれを「脅威への対処」として処理し、エネルギーを消耗するだけで、創造性も生まれにくい。
ゴールは「やらなければ」ではなく、「やりたくてたまらない」から始まる必要があります。

ふたつ目は、現状の外にあること。

「今の自分でも達成できそう」なゴールは、脳を大きく動かしません。
情報の門番であるRASは、今の自己イメージの範囲内の情報しか拾わず、創造的な解決策も生まれにくい。

本物のゴールとは、今の自分のコンフォートゾーンの外側にあるものです。
考えたときに「本当にできるのだろうか」という感覚が生まれるくらい、先にある。
しかし同時に、「もしそこに到達できたら、最高だ」というワクワクがある

この二つが重なるとき、脳はゴールをリアルに受け取り、創造性のスイッチを入れ始めます。

新生活は、それまでの基準が一度ほどけている時期です。
だからこそ、「もう少し先」ではなく、「別の世界の話」として描けるゴールを置くチャンスでもあります。

「現状の外」とは、一段先ではなく「別の世界」

「現状の外」と聞くと、少し背伸びすれば届く場所のように思えるかもしれません。
しかし、現状の外とは「今の延長線上の少し先」ではありません

今の自己イメージを基準に考えると、どれだけ頑張っても、その自己イメージに引っ張られ続けます。
「今の自分が少し成長した姿」がゴールである限り、コンフォートゾーンは少しずつしか動きません。

現状の外のゴールとは、「今の自分の常識では考えにくい、別の世界の話」です。

「今より少し稼ぎたい」ではなく、「どんな仕事を、どんな人と、どんな場所でしているか」
「もう少し健康になりたい」ではなく、「どんな身体で、どんな毎日を生きているか」
「人間関係を改善したい」ではなく、「どんな人と、どんな話をして、どんな時間を過ごしているか」

映像として思い描けるくらい具体的で、今の自分には少し信じがたいくらい先にあるゴール。
それが、脳を大きく動かすゴールです。

新生活の場面・人・リズムが大きく変わったタイミングは、この「別の世界」を言葉にしやすい貴重な時期です。
すでに変化が起きているからこそ、変化前の自己イメージに縛られにくくなっています。

新生活で、最初の一歩としてできるゴールの見つけ方

具体的に、どうやってゴールを見つければいいのか。
最初に試してほしいのは、制約を外した問いかけです。

  • 「もしお金が無限にあったら、何をしているか」
  • 「もし失敗しないと分かっていたら、何に挑戦するか」
  • 「誰にも評価されなくていいなら、何に時間を使いたいか」
  • 「10年後、最高に充実した一日はどんな一日か」

これらの問いに対して、すぐに浮かぶ答えを大切にしてください。
「現実的じゃない」「でもそれは難しい」という声が湧いてきても、いったん横に置いておく。
ゴールを先に決めることで、RASがそれに関連する情報を拾い始めるからです。

問いに答えが浮かばないなら、これまでの人生で夢中になったことを振り返るのも有効です。
子どもの頃、時間を忘れて没頭したこと。
大人になっても、誰にも頼まれていないのに自然と取り組んでしまうこと。
そこに、本音のゴールの種があることが多いのです。

そして大切なのは、最初から完璧なゴールを描こうとしないこと
「今の段階では、こっちの方向に進みたいと思う」
「まだ曖昧だけれど、こんな未来に惹かれる」
この程度の仮のゴールで構いません。
脳はそれでもゴールとして認識し、RASのフィルターを切り替え始めます。

進んでいく中で、「やっぱりこっちだ」と感じたら修正すればいい。
完璧なゴールを探して立ち止まることより、仮であっても決めて動き出すことが、新生活ではずっと効きます。


冒頭の、「ゴールを考えようとしても頭が空白になる」「義務や期待の言葉しか浮かんでこない」「『現実的に』という声が先に出る」という体験。
その原因は、長年のhave toが、本音のゴールの声を覆い隠していたことにありました。

ゴール設定は、「何をやるかを決める」作業ではありません。
「どんな自分として、これからを生きるか」を選ぶ行為です。

新生活というほどけた時間の中で、制約を外した問いをひとつ自分に向けてみる。
そこから出てきた言葉が、これからの景色を変える、最初のゴールになります。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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