仕事だけにゴールを置くと、人生が偏り始める──バランスホイールという視点

「仕事は充実しているはずなのに、ふとした瞬間に空虚さを感じる」
「キャリアを優先してきたら、気づけば健康や人間関係が後回しになっていた」
「人生このままでいいのかと、漠然とした不安が消えない」

もしあなたがそう感じているなら、それはゴールの設定が間違っていたからではありません。
実は、ゴールが人生の一部分だけに偏っていることが、充実感を妨げているのかもしれないのです。

今日は、人生全体にゴールを設定する「バランスホイール」という考え方と、なぜそれがマインドの仕組みを最大限に活かすのかについてお伝えします。

目次

仕事は順調なのに、なぜか満たされない──人生の「偏り」に気づく

ゴール設定の大切さを理解し、実践している人でも、陥りやすい落とし穴があります。

それは、ゴールを一つの分野にだけ設定してしまうことです。

最も多いのは、仕事やキャリアにゴールが集中するケースです。

「売上を伸ばしたい」「昇進したい」「スキルを磨きたい」
こうしたゴールは大切です。

しかし、仕事のゴールだけを追いかけていると、やがて不思議なことが起きます。

仕事がうまくいっているのに、なぜか疲れが取れない。
成果を出しているのに、心のどこかが満たされない。
忙しさの中で、大切にしていたはずの人間関係や趣味がいつの間にか消えている。

これは、人生全体のバランスが崩れているサインです。

人生は仕事だけで成り立っているわけではありません。
一つの分野がどれだけ充実していても、他の領域が空白のままでは、全体としての充実感は得られにくいのです。

ゴールが一つの分野に集中すると、他の領域が停滞する

ゴールが一つの分野に集中すると、マインドの仕組みもその分野にだけ集中します。

RASは仕事に関する情報ばかりを拾い、健康や人間関係に関する情報はスコトーマに入ってしまう。
セルフトークも仕事中心になり、他の領域での自己イメージは更新されないまま放置される。
コンフォートゾーンの引っ越しも仕事の領域でしか起きず、他の領域は過去のブリーフ・システムに支配されたまま。

その結果、ゴールのない領域は、無意識のうちに停滞するのです。

健康にゴールがなければ、「まあ大丈夫だろう」と現状維持になる。
人間関係にゴールがなければ、「忙しいから仕方ない」と後回しになる。
趣味にゴールがなければ、「そんな時間はない」と切り捨てられる。

ゴールがない領域では、脳は新しい情報を探さず、コンフォートゾーンも動かず、変化は起きません。

一つの分野だけが前に進み、他が止まったまま。
この人生の歪みが、漠然とした不安や空虚感の正体なのです。

バランスホイールとは何か──人生を複数の領域で見渡すフレームワーク

この偏りを解消するために役立つのが、バランスホイールという考え方です。

バランスホイールとは、人生をいくつかの重要な領域に分け、それぞれにゴールを設定するフレームワークです。

たとえば、次のような領域があります。

  • 仕事・キャリア:どんな働き方をしていたいか
  • お金・経済:どんな経済状態を実現したいか
  • 健康・身体:どんな健康状態でありたいか
  • 家族・パートナー:大切な人とどんな関係を築きたいか
  • 人間関係・社会:どんな人たちと関わっていたいか
  • 学び・自己成長:何を学び、どう成長していたいか
  • 趣味・遊び:何を楽しみ、どんな体験をしていたいか
  • 社会貢献・使命:社会に対してどんな価値を届けたいか

これらの領域を「車輪のスポーク」に見立てます。
すべてのスポークがバランスよく伸びていれば、車輪は滑らかに回ります。
一部だけが突出していると、車輪はいびつになり、人生全体がガタガタと揺れてしまいます。

すべての領域にwant toのゴールを置くと、領域同士がエネルギーを補い合う

バランスホイールでゴールを設定するとき、最も大切なのはすべての領域でwant toのゴールを持つことです。

「仕事には情熱があるけれど、健康管理は仕方なくやっている」
「家族のことは義務感で対応している」

こうした状態だと、have toの領域がエネルギーを奪い、want toの領域にも影響が出ます。

逆に、すべての領域で「こうなりたい」と心から思えるゴールがあると、領域同士がエネルギーを補い合うようになります。

仕事での充実が家族との関係を豊かにし、健康であることが仕事のパフォーマンスを上げ、趣味が新しい発想を生み、学びがキャリアの可能性を広げる。

一つの領域でのゴール達成が、他の領域への推進力になる。
バランスホイールが回り始めると、人生全体が一つの流れとして前に進み始めるのです。

バランスホイールのゴールも「現状の外側」に設定する

バランスホイールの各領域にゴールを設定するとき、もう一つ大切なポイントがあります。

それは、各領域のゴールも「現状の外側」に設定することです。

「今より少し健康になればいい」「家族との時間を少し増やせればいい」
こうした改善レベルのゴールでは、RASのフィルターは切り替わらず、コンフォートゾーンの引っ越しも起きません。

「心身ともに最高の状態で毎日を過ごしている自分」
「家族と深い信頼関係を築き、互いに成長し合っている自分」

こうした、今の自分では方法が見えないくらいのゴールを各領域に置く。
すると、それぞれの領域でRASが切り替わり、スコトーマが外れ、これまで見えなかった可能性が視界に入ってきます。

完璧なゴールを最初から描く必要はありません。
仮のゴールでも構わないので、すべての領域に「現状の外側」のゴールを置く
それだけで、人生全体のマインドの仕組みが動き始めます。

人生全体にゴールを持つ人が、結果的にすべてを加速させる

「そんなにたくさんの領域にゴールを持ったら、エネルギーが分散してしまうのでは?」

そう思うかもしれません。
しかし、実際にはその逆です。

人生全体にwant toのゴールを持つ人の方が、結果的にすべてを加速させます。

なぜなら、バランスホイールが回り始めると、各領域のゴールが互いに影響し合い、全体のエネルギーが増幅されるからです。

一つの領域にだけゴールを集中させている人は、その領域でしかエネルギーが生まれません。
しかし、人生全体にゴールを持つ人は、あらゆる領域からエネルギーが湧き、あらゆる領域での経験がゴール達成に活かされます。

マインドの仕組み──RAS、セルフトーク、エフィカシー、コンフォートゾーン、ホメオスタシス──これらすべてが、人生全体で機能するようになるのです。

バランスホイールのすべてのスポークにwant toのゴールが入ったとき、人生という車輪は力強く回り始めます。


冒頭でお伝えした、「仕事は充実しているのに空虚さを感じる」「健康や人間関係が後回しになっていた」「漠然とした不安が消えない」という体験。
その原因は、ゴールが人生の一部分に偏っていたことにありました。

しかし、バランスホイールという視点を持てば、人生全体にゴールを設定できます。
すべての領域にwant toのゴールを置き、現状の外側に設定する。

そのとき、人生のあらゆる領域でマインドの仕組みが動き出し、一つの領域の前進が他の領域を引き上げ、人生全体が一つの大きな流れとして進み始めるのです。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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