慣れた世界を、脳は守ろうとする

コンテストの応募フォーム、あとは送信ボタンを押すだけ。
なのに指が止まって、つい「明日にしよう」とアプリを閉じてしまう。

体験入部に行こうと決めた朝、「やっぱり来週でいいか」が急に説得力を持ち始める。
立候補しようと思っていたのに、締め切りの日になると理由を探して見送ってしまう。

臆病なわけでも、根気がないわけでもない。
脳が「慣れた世界」を守ろうとしているだけなんだ。

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うまくいったのに、次の一歩がなぜか重い

不思議なのは、うまくいったときでさえ足が止まること。

テストでいい順位を取った次の日、「次は落ちるかも」と急に不安になる。
発表で褒められたのに、「次も同じようにできるかな」と身構えてしまう。

私たちには、「ここなら自然でいられる」と感じる範囲がある。
これをコンフォートゾーンと呼ぶ。

この範囲の中にいる限り、脳はおだやか。
でも、一歩でも外に出ようとすると、脳は違和感や不安を生み出して、元の場所に引き戻そうとする。
良い変化でも「いつもと違う」ことは、脳にとって危険の可能性を含むからだ。

居心地が悪くても、慣れた場所は「安全」に感じる

ここで知っておきたいのは、コンフォートゾーンは「快適な場所」とは限らないということ。

「今のクラスでの立ち位置に不満はあるけど、変えるのはもっと怖い」
「本当は別の部活に興味があるけど、今さら動けない」

不満があっても、慣れ親しんだ状態なら、脳はそこを「安全な場所」と見なす。

じゃあ、このゾーンの大きさや境界は、何で決まるんだろう。
答えは、自己イメージ

「自分はこのくらいのことができる」という自己イメージの範囲が、そのままコンフォートゾーンになる。
「自分は前に出るタイプじゃない」と信じていれば、立候補はゾーンの外に置かれてしまう。
逆に「自分にはもっとできる」という自己イメージがあれば、ゾーンはそれに合わせて広がる。

その不安は、ゾーンの外に出たサインだった

送信ボタンの前のドキドキ。新しいグループに入るときのそわそわ。
これらはすべて、ゾーンの外に出たことで脳が出している警告だ。

でも、ここで視点を変えてみてほしい。
違和感がある場所こそ、コンフォートゾーンの境界線。
違和感を感じているということは、すでに一歩踏み出しているということでもある。

つまりあのドキドキは、「戻れ」のサインであると同時に、「進んでいる」サインでもあるんだ。

「これは変わり始めた証拠だ」と言い聞かせてみた

不安が湧いたとき、「この違和感は、自分が変わり始めている証拠だ」と言い聞かせてみる。
同じ感覚でも、意味づけが反転する。
ドキドキしたまま送信ボタンを押せた日は、それだけでゾーンが少し広がった日だ。

そしてもう一つ効いてくるのが、心から望むゴールだ。

「やらされている」だけでは、違和感に耐えにくい。
でも、心から望む未来があるときは、ゴール側を思い描いたときのワクワクが、違和感を上回る。
「ここは居心地が悪い」よりも、「あそこに行きたい」のほうが強くなる。

すると脳は、いまのゾーンよりもゴール側の状態を、自分の居場所だと認識し始める。
これが、コンフォートゾーンの「引っ越し」。
引っ越しが進むと、ゴール側の状態が新しい「当たり前」になっていく。


送信直前で手が止まる、うまくいったあとに一歩が重くなる。
その正体は、脳が慣れた世界を守ろうとする、ごく自然な反応だった。

違和感は「戻れ」のサインであると同時に、「すでに進んでいる」サイン。
未来側の自分を少し具体的に描くだけで、その違和感は、新しい「当たり前」への入り口に変わりはじめる。

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この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

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