あなたって、どんな人?
いきなり聞かれたら、少し戸惑うかもしれない。
でも、職場では意外とすぐに答えが出てきたりする。
「自分はサポート役タイプ」
「人前で話すのは苦手なほう」
「リーダー向きじゃない」
「安定志向で、挑戦はあまり得意じゃない」
そんなふうに、「自分はこういうタイプ」と説明できること、ないかな。
じゃあ、ちょっとだけ聞いてみたい。
その答えって、ほんとうに、あなた自身が選んだものかな?
その答え、いつ・誰が作ったもの?
少しだけ、思い出してみてほしい。
子どものころ、家族や先生、友達に、どんな言葉をかけられてきた?
入社してから、上司や先輩、同僚に、どんなふうに見られてきた?
「あなたはおとなしいよね」
「コツコツやるタイプだね」
「正面に立つより、支えるほうが向いてる」
「慎重だから、無茶はしないよね」
なにげなく言われた言葉。
うれしかったこともあれば、ちょっと胸がチクッとしたこともあったかもしれない。
そのときは聞き流したつもりでも、何度も耳にした言葉は、心の奥にそっと積もっていく。
「自分らしさ」は、選んだ? それとも染まった?
不思議なもので、何度も聞いた言葉は、いつのまにか「自分はこういう人」という思い込みに変わっていく。
社会人になって数年たつと、それがさらに固まりやすい。
チームでの役割、評価の言葉、うまくいったやり方、失敗したときの記憶──
そういうものが少しずつ重なって、「今の自分」ができていく。
つまり、あなたが「自分はこういうタイプだ」と感じていることの多くは、選んだんじゃなくて、染まったものかもしれない。
そう考えると、ちょっと肩の力が抜けてこない?
思い込みが行動を決める、静かな仕組み
困ったことに、身についた感覚は、今も自動で再生される。
会議で発言しようとして、言葉が止まる。
新しい仕事を頼まれて、「自分にはまだ早い」と先にブレーキがかかる。
やりたい気持ちがあるのに、「自分らしくないかも」と一歩引いてしまう。
これは「今のあなたの実力」とは、ほとんど関係ない。
脳が、過去の記憶をたよりに「これはちょっと怖いことだよ」と知らせているだけなんだ。
行動を止めているのは、今のあなたじゃなくて、昔のあなたが感じた気持ち。
そう知るだけで、自分を責める声が、少し小さくなっていく。
もし、自由に選び直せるとしたら?
ここでもうひとつ、聞いてみたい。
もし、いまの「自分はこういうタイプ」を一度わきに置いて、
自由に選び直せるとしたら──あなたは、どんな自分でいたい?
もっと発言する自分?
新しい挑戦に手をあげる自分?
まだ言葉にならない、ぼんやりしたイメージでもいい。
「変わらなきゃ」と力まなくて大丈夫。
脳には、「いつもの自分」を守ろうとする働きがあるから、戻ってしまうのは自然なこと。
まずは、「選び直せる」と知ることだけで十分だ。
“自分”は、これからも作っていける
「自分」は、いつのまにか作られたもの。
でも同時に、これからも少しずつ、作り続けていけるものでもある。
過去の延長で、自分を決めなくていい。
これからどんな自分でいたいか──そっと描き直してみていいんだ。
きょうから、ほんの少しだけ。
自分に聞いてみてほしい。
「いつのまにか固まった”タイプ”の中で、ほんとはもう手放していいものはあるかな」
「これから、どんな自分で過ごしたいかな」
答えはあいまいでかまわない。
「自分」は、今この瞬間にも、あなた自身の手で、少しずつ描き直していけるんだから。
