久しぶりに会った友人に、「最近どう?」と聞かれる。
口から出てくるのは、担当している案件の話と、忙しさの話だけ。
平日は集中して働けているし、任される仕事も増えてきた。
それなのに、金曜の夜になると、休日にやりたいことがひとつも浮かばない。
ゴールの置き方が間違っていたわけではありません。
ゴールが人生の一部分だけに偏っていることが、充実感を遠ざけているのかもしれないのです。
全力で走っていたのは、人生の一部だけだった
ゴールの大切さを理解して動いている人でも、はまりやすい落とし穴があります。
ゴールを、一つの領域にだけ置いてしまうことです。
いちばん多いのは、仕事やキャリアに集中するケース。
「意味のある仕事をしたい」「任される人になりたい」。もちろん、大切なゴールです。
けれど仕事のゴールだけを追いかけていると、不思議なことが起きます。
成果は積み上がっているのに、休日には何もする気が起きない。
「最近どう?」に、仕事の報告しか出てこない。
一つの領域だけが大きく育って、ほかが置き去りになっているサインです。
気づけば、体も人付き合いも後回しになっていた
ゴールが一つの領域に集中すると、脳の働きもそこにだけ集中します。
脳のフィルターは仕事の情報ばかりを拾い、健康や人間関係の情報は素通りしていく。
日々の独り言も仕事中心になり、ほかの領域の自己イメージは更新されないまま置かれます。
その結果、ゴールのない領域は、静かに停滞していくのです。
健康にゴールがなければ、健康診断の数値を見ても「まあ大丈夫だろう」で終わる。
人間関係にゴールがなければ、連絡を返さないまま「忙しいから」で流れていく。
趣味にゴールがなければ、「そんな時間はない」と最初に削られる。
インストールしたまま一度も開かないアプリのようなものです。
消したわけではないのに、通知も更新も、いつのまにか止まっている。
車輪が一つだけ大きいと、うまく転がらない
ここで役に立つのが、バランスホイールという考え方です。
人生を、仕事・健康・家族・人間関係・学び・趣味・お金・心の豊かさといった領域に分けて眺めてみる。
そして、それぞれを車輪のスポーク(放射状の棒)に見立てます。
一つのスポークだけが極端に長く、ほかが短いと、車輪はいびつな形になります。
いびつな車輪は、回そうとしてもガタついて、うまく前に進みません。
仕事だけが突き出していて、ほかの領域は小さいまま。
どれだけ仕事を頑張っても、車輪全体としてはなめらかに転がらないのです。
仕事以外に、ゴールを一つ置いてみた
では、どうすればいいのでしょうか。
答えはシンプルで、仕事以外の領域にも、心からやりたいゴールを置いてみることです。
すべての領域に、立派なゴールを置く必要はありません。
まずは、いちばん小さくなっている領域に、一つだけ。
「休日に、心から楽しめる時間をつくる」
「大切な人と、仕事以外の話ができる関係を育てる」
「自分の体を、こんなふうに整えていきたい」。
一つでも、心から望むゴールが置かれた領域から、脳はまた情報を拾いはじめます。
休日に何をしたいか分からない。仕事の話しか出てこない。
その背景には、ゴールが一つの領域に偏っていたことがありました。
今日の帰り道で、自分の車輪をそっと眺めてみませんか。
そして、いちばん小さくなっている領域に、ゴールを一つだけ置いてみる。
仕事だけが、あなたの人生ではありません。
車輪がまあるく整うほど、毎日はこれまでより軽やかに転がりはじめます。
次回は、そのゴールに着いたあと、なぜ満たされないと感じるのかという話をします。
