そのゴール、「できそうだから」選んでない?
「いまの専門性を、もう一段深める」
「チームが、もっと回りやすい状態をつくる」
「任される範囲を、広げていく」
立てたゴールは、どれも現実的で、届く道筋も見えている。
実際、これまでもそうやって、ひとつずつ形にしてきた。
なのに、どこか胸が躍らない。
ほんとうは、気になっていることがある。
別の分野をやってみたい。自分の企画を形にしたい。働き方そのものを変えてみたい。
でも、どうやればいいのか見当がつかないから、口にすらしていない。
ちょっとだけ聞いてみたい。
やり方が見えないゴールは、目指しちゃいけないのかな?
仕事の作法を、人生にも持ち込んでいる
中堅と呼ばれるころには、考える順番が身体に染みついている。
まず、やり方を考える。
必要な人と時間を見積もる。
実現の見込みが立たなければ、手を出さない。
これは、仕事ではとても大事な作法だ。
あなたが頼られているのも、この段取りの力があるからだと思う。
ただ、この作法には、ひとつだけ副作用がある。
自分のキャリアや、この先の生き方を考えるときにも、同じ順番で考えてしまうこと。
やり方が見えない。だから、目指さない。
そうやって、まだ育つ前の「こうなりたい」を、最初の段階で候補から消してしまうんだ。
「できそうなこと」には、脳は本気を出さない
わたしたちの脳は、「大事だ」と感じたものに向かって、情報を集めはじめる。
でも、やり方まで見えているゴールは、脳にとってもう答えの出ている問題だ。
だから、新しい情報を探しにいかない。
いつもの範囲の外には、目を向けない。
できそうなことだけを並べたゴールは、着実に達成できる。
そのかわり、あなたを今の場所から、少しも遠くへは連れていってくれない。
行き先を入れると、道はあとから現れる
ちょっと想像してみてほしい。
車のカーナビは、電源を入れただけでは何も教えてくれない。
行き先が決まっていないからだ。
ところが、目的地を入れた瞬間、いくつものルートが現れる。
わたしたちの脳も、これとよく似ている。
「こうなりたい」というゴールを先に置くと、脳はそちらへ向けて情報を拾いはじめる。
たまたま読んだ記事、他部署の誰かの何気ない話、昔の知り合いからの連絡──
それまで素通りしていたものが、ゴールへのヒントとして目に留まるようになる。
やり方が見えないのは、ゴールが無謀だからじゃない。
まだ、ゴールを先に置いていないだけなんだ。
もし、やり方を考えずに行き先を決めたら?
ひとつ、試してみてほしいことがある。
「どうやるか」は、いったん横に置く。
見積もりも、実現の見込みも、考えなくていい。
そのうえで、こう聞いてみる。
「もし、やり方の心配がいらないとしたら、どこへ行ってみたい?」
浮かんだ答えが、突拍子もなくてもかまわない。
人に話せるほど固まっていなくてもいい。
心の中に、仮に置いておくだけで十分だ。
段取りは、ゴールのあとで使えばいい
あなたの段取りの力は、手放さなくていい。
ただ、使う順番を入れ替えるだけだ。
先に行き先を決める。道は、あとから現れる。
そこではじめて、得意な段取りの出番がくる。
それからもうひとつ。
ゴールを置いたら、「早く道を見つけなきゃ」と力まないこと。
肩の力が抜けているときのほうが、思いがけないルートは目に入りやすい。
きょうから、ほんの少しだけ。
自分に聞いてみてほしい。
「やり方が見えないから、口にしていないゴールはないかな」
「もし、やり方の心配がいらないとしたら、どこへ行ってみたい?」
答えはあいまいでかまわない。
道は、探しにいくものじゃない。
行き先を決めたあなたのところへ、あとからちゃんとやってくるんだから。
