「あの人だけ運がいい」と感じた日はありませんか。
「同じ研修を受けたはずなのに、すっと核心をつかむ人がいる」
「同じ職場にいるはずなのに、面白そうな仕事はいつも別の人に回っていく」
「自分にもチャンスがあれば、と思いながら、毎日が静かに過ぎていく」
その「自分にはチャンスがない」という感覚は、ほんとうでしょうか。
それとも、ただ”見えていない”だけなのでしょうか。
同じ部屋にいるのに、見えているものが違う
おもしろい話があります。
同じ会議に出ていても、人によって持ち帰る情報はまったく違うのです。
発言の内容に注目している人。
資料の数字を細かく見ている人。
誰と誰の関係性を観察している人。
同じ景色を見ているはずなのに、頭に残っているものは一人ひとり違う。
これは、能力の差ではありません。
脳が「何を大事だと判断しているか」が、人によって違うだけなのです。
脳は、気にしているものだけを拾い上げる
私たちの脳は、目に映るすべての情報を平等に処理しているわけではありません。
「今の自分にとって大事だ」と判断したものだけを、すっと拾い上げる仕組みになっています。
たとえば、欲しい服を見つけた途端、街を歩いていても同じ服ばかり目につくようになる。
妊娠した人には、急に街中の妊婦さんが増えたように感じる。
実際に服や妊婦さんが増えたわけではありません。
脳が「これは大事な情報だ」とラベルを貼り、見せ始めただけです。
逆にいえば、ラベルが貼られていないものは、目の前にあっても見えなくなる。
それが、脳の自然な働きなのです。
「やっぱり自分には無理」が、見える景色をつくっていく
ここに、少しだけ落とし穴があります。
「自分にはまだ早い」「やっぱり向いていないかも」──そう感じていると、脳はその方向にラベルを貼ります。
すると、うまくいかなかった記憶や、自分には難しそうな仕事ばかりが目に入ってくる。
一方で、誰かがそっと託してくれた仕事や、「やってみたら?」というひと言は、視界からすっと消えていく。
本当はそこにあるのに、見えなくなっている。
それを、自分では「チャンスがない」と感じてしまうのです。
つまり、見えている世界は、あなたの心が選んだ景色でもあるのです。
何気ないひと言に、視野を狭められてはいないか
ラベルの貼り方は、自分ひとりで決めているわけではありません。
まわりの人の言葉も、静かにラベルを書き換えていきます。
「まだ早いんじゃない?」
「無理しないほうがいいよ」
「あなたにはちょっと難しいかも」
たいていは、心配や優しさから出ている言葉です。
けれど、何度も耳にするうちに、心は「やっぱり自分には無理かも」のほうへ少しずつ傾いていきます。
その言葉を、悪意として受け取る必要はありません。
ただ、自分のアンテナがどんな言葉に染まっているかは、ときどき確かめてあげていい。
そばに、あなたの可能性を信じてくれる人はいるでしょうか。
あなたの「やってみたい」を、笑わずに聞いてくれる人はいるでしょうか。
「こうありたい」と思った瞬間、世界はそっと姿を変える
見える世界を変えるのに、特別なことは要りません。
「こうありたい」「こんなふうに過ごしてみたい」──そう思った瞬間から、脳は新しいラベルを貼り始めます。
今までスルーしていた本のタイトルが、急に気になる。
誰かの何気ない話が、自分ごととして耳に入ってくる。
小さなチャンスが、視界の端から少しずつ姿を見せはじめる。
それは、世界が変わったのではなく、あなたの心のアンテナが、少しだけ向きを変えただけ。
今日から、ほんの少しだけ。
自分に問いかけてみてください。
「今の自分は、何にアンテナを向けているのだろう」
「もしかしたら見えていない、小さなチャンスはないだろうか」
答えは曖昧でかまいません。
チャンスはきっと今日も、あなたのすぐそばに、静かに立っているのですから。
