同期と同じ研修なのに差がつく理由──脳が「見せてくれるもの」の仕組み

「同期はどんどん成長しているのに、自分だけ置いていかれている気がする」
「同じ説明を聞いたはずなのに、あの人だけポイントをつかんでいる」
「チャンスがあるはずなのに、自分にはなかなか回ってこない」

もしあなたがそう感じているなら、それは能力や運の問題ではありません。
実は、あなたの脳が何に「ピント」を合わせているかで、見える世界が決まっているだけかもしれないのです。

今日は、脳の情報選択の仕組み──「ロックオン」と「ロックアウト」を知り、社会人1年目の視野を広げるヒントをお伝えします。

目次

同じ職場なのに、見えている世界が違う理由

同じ研修を受けても、「ここが大事だ」と感じるポイントは人によって違います。
同じOJTで先輩の仕事を見ていても、業務の全体像をつかむ人と、目の前の作業しか見えない人がいます。

同じ職場にいて、同じ情報に触れているはずなのに、一人ひとりが見ている世界は異なります。

なぜでしょうか。

それは、脳がすべての情報を平等に処理しているわけではないからです。
脳は、自分にとって「重要だ」と判断した情報だけを拾い上げ、それ以外をスルーしています。

つまり、あなたが今見ている職場の景色は、脳が「重要」と判断した情報だけで組み立てられた世界なのです。

脳は「重要なもの」にしかピントを合わせない

この脳の仕組みを、「ロックオン」と「ロックアウト」と呼びます。

  • ロックオン:自分にとって重要だと判断した情報に、意識が集中する
  • ロックアウト:重要でないと判断された情報が、認識から外れる

たとえば、先輩から「議事録は結論から書くといいよ」と言われた途端、他の人の議事録の書き方が急に目に入るようになった。
これは議事録が急に増えたわけではなく、脳がその情報にロックオンした結果です。

そして同時に、それ以外の情報──たとえば会議の進行の仕方や参加者の発言パターンなどはロックアウトされ、意識に上がりにくくなっています。

この仕組みは、議事録だけの話ではありません。
仕事の進め方、人間関係、キャリアの選択──あらゆる場面で、ロックオンとロックアウトは起きています。

ロックアウト──見えなくなったチャンスには気づけない

ロックオンは便利な仕組みですが、裏を返せば、ロックアウトされた情報には気づけないということです。

たとえば、「自分はまだ新人だから、大きな仕事は任せてもらえない」とロックオンしている人がいるとします。
その人の脳は、「自分にはまだ早かった場面」「うまくできなかった記憶」ばかりを拾い上げます。

一方で、「上司が期待を込めて振ってくれた仕事」「先輩が『やってみる?』と声をかけてくれた瞬間」は、ロックアウトされて見えなくなっている。

本当はチャンスが目の前にあるのに、脳がその情報を消してしまっているのです。

これがロックアウトの怖さです。
チャンスが「ない」のではなく、「見えなくなっている」だけ。
しかし本人にとっては、見えないものは存在しないのと同じに感じてしまいます。

「新人なんだから」という言葉が、視野を狭める

では、ロックオンの方向は何によって決まるのでしょうか。

大きな要因の一つが、周囲の人たちの言葉です。

職場で繰り返し聞く言葉。
上司、先輩、同期──身近な人が発した言葉が、あなたの脳の「重要度」を書き換えていきます。

「新人なんだから、まずは言われたことをやりなさい」
「最初の1年は我慢だよ」
「君にはまだ早いんじゃない?」

こうした言葉は、多くの場合、善意から出ています。
しかし善意であっても、その言葉が「自分にはまだできない」へのロックオンを強化してしまうことがあります。

コーチングでは、こうした存在を「ドリームキラー」と呼びます。
悪意があるわけではない。むしろ心配してくれている。
けれど、その言葉が結果として、あなたの可能性をロックアウトしてしまうのです。

誰のそばにいるかが、脳のアンテナを変える

ドリームキラーの反対もあります。

あなたの可能性を信じ、「君ならできるよ」と言ってくれる先輩。
新しい挑戦を応援し、「まずやってみなよ」と背中を押してくれる上司。

そうした人と過ごす時間が増えると、脳の「重要度」が変わります。

  • 「自分にもできるかもしれない」にロックオンし始める
  • 「どうせ新人だから」がロックアウトされていく
  • 今まで見えなかった成長のヒントやチャンスが、視界に入ってくる

つまり、誰のそばで時間を過ごすかは、脳のアンテナの方向を決めるということです。

あなたの周りにいる人は、あなたの可能性を広げてくれていますか。
それとも、知らず知らずのうちに、視野を狭めていませんか。

社会人1年目は、新しい人間関係がつくられる時期です。
「誰と過ごすか」を意識するだけで、見える世界は変わり始めます。

ロックオンの方向を「これからの自分」に向ける

ロックオンの方向は、周囲の声だけで決まるわけではありません。
自分自身で選び直すことができます。

そのために有効なのが、ゴール設定です。

「どんな社会人になりたいか」「1年後、どんな自分でありたいか」──そうしたゴールを持つと、脳はゴールに関連する情報にロックオンし始めます。

過去の失敗や「新人だから」という声にロックオンしていた脳が、未来に必要な情報を探し始める。
今まで見えなかったチャンスや学びのヒントが、少しずつ視界に入ってくる。

ロックオンの方向を「過去」や「不安」から「これからの自分」へ切り替える。
それだけで、同じ職場でも見える景色は大きく変わり始めます。


今日から、ほんの少しだけ。
自分に問いかけてみてください。

「今の自分は、何にロックオンしているだろう?」
「見えなくなっている可能性は、ないだろうか?」

答えは一つでなくて構いません。最初は曖昧でも構いません。
大切なのは、「自分のロックオンの方向」に気づき、それを意識的に選び直すことです。

周囲の声に流されるのではなく、自分で耳をかたむける相手を選ぶ。
過去ではなく、これからの自分にロックオンする。

あなたの見える世界を広げる力は、すでにあなたの中にあるのです。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

苫米地式コーチング認定コーチ/苫米地式コーチング認定教育コーチ/TICEコーチ/PX2ファシリテーター。 苫米地英人博士から指導を受け、青山龍ヘッドマスターコーチからコーチングの実践を学び、世界へコーチングを広げる活動を実施中。あなたのゴール達成に向けて強力にサポートします。

目次